
阿久根のボンタンと2022年に誕生したボンタンコーラ
甘くさわやか、だんらんの味…
冬場、阿久根市の国道3号を車で走ると、道沿いの直売店に並ぶボンタンが目に飛び込んでくる。分厚い皮をむけば、シャキシャキとしたピンクの果肉。甘酸っぱく、少しほろ苦さもある。冬に家族で囲むボンタンは、阿久根市民にとって古里の味だ。
市木でもあるボンタンだが、農家の数は、需要の減少や高齢化で20戸ほどに減った。「ボンタンが途絶えてしまう」。30~50代の後継者4人が2017年、B(ボンタン)プロジェクトを結成。
鹿児島市の銭湯とタッグを組み「ボンタン湯」のイベントを打ち出した。レモンイエローの巨大な果実がぷかぷか浮かぶ様子は話題に。口コミで全国区となった。
ちなみに「ボンタン湯」を知らせるポスターはセイカ食品からデザインを提供してもらっている。今年は全国約500の銭湯で実施予定だそう。
「やる気につながっている」と語るのはリーダーの盛永宏史さん。11月下旬、農園を訪ねると、ほんのり黄色に色づいたボンタンがずっしりと実っていた。
最大のミッションは、ボンタンの知名度向上。「ボンタン狩りをしてみたい、実際につくってみたいって思う人が増えたらうれしい」と笑みを浮かべる。
銭湯との出合いは、新たな一歩につながった。2021年に発売した、ボンタンサイダーだ。「風呂上がりの一杯に」と開発。子どもにも飲みやすいさわやかな微炭酸だ。肥薩おれんじ鉄道・阿久根駅の「阿久根屋」などで販売中。
今(2022)年はボンタンコーラも誕生した。ボンタン風味のさわやかなコーラは現在、飲食店を中心に売り込み中だ。
メンバーの下薗大樹さんは「異業種との関わりにはヒントがたくさん。冬はボンタン一色の街になるよう、チャレンジしていきたい」と手応えを語る。ボンタンの優しい甘さはこれからも、友達や家族との楽しいひとときに寄り添い続けるだろう。
Bプロジェクト
- 阿久根市大川8370(事務局:泰平食品)
- /ぼんたんプロジェクト
- /bontan_project
- 📧/bontanpro@gmail.com

よかもんのススメ…
ともまち珈琲
海を眺めながら、ボンタンコーラはいかが? 店主の松木竜太郎さんは、阿久根市出身で明治政府の外務卿などを務めた寺島宗則の子孫。「外でコーヒーが楽しめる場所を」という夢を、パートナーの鈴木晴子さんとともにゆかりの地でかなえた。
自家焙煎(ばいせん)したブレンドコーヒーのほか、木・金曜はスパイスカレー(1,100円)が味わえる。テラス席に腰かけ、のんびりと過ごす時間は至福。
松木さんは「景色は潮の満ち引きや季節で表情を変える。毎日眺めても飽きない」。冬は暖かい服装でお出かけを。
ともまち珈琲
- 阿久根市脇本13955-4[MAP]
- 営/11:00~17:00
- 休/月・火曜、他不定
- P/5台
- /tomomachicoffee
金額・内容はすべて取材時のものです。
