
三島村で造られる芋焼酎の「メンドン」(左)と「みしま村」
芋の栽培から醸造まで島民が手掛ける
竹島、硫黄島、黒島の3島からなる三島村は、人口約400人と鹿児島県内で最も小さな自治体だ。黒島の村営焼酎蔵「みしま焼酎 無垢の蔵」では連日、芋焼酎の仕込み作業が続く。杜氏の坂元巧斉さんは「芋由来の香りと味を最大限引き出したい」と意欲を見せる。

粉砕したサツマイモをかくはんする二次仕込み

原酒の香りをチェックする杜氏の坂元巧斉さん
村が焼酎造りに乗り出したのは2004年。地域資源を生かした特産品で村を活性化しようと、黒島の特産物・サツマイモに着目。島外の酒造メーカーに委託し焼酎「みしま村」を造った。

大きく育ったサツマイモを手にする老人会員

サツマイモの収穫作業に励む大里老人会員ら
原料芋「ベニオトメ」の生産には地元農家と老人会が協力。植え付けから収穫まですべて手作業で行った。
「甘みがあり、まろやか」と初年度の1,000本は4日で完売。16年には硫黄島産の芋を使った焼酎「メンドン」製造も始めた。

収穫したサツマイモの皮をむく蔵人ら
そんな「みしま焼酎」に17年、転機が訪れた。改正酒税法で、地元の特産品を利用した焼酎を特区内で製造すると年間10kl以上の数量条件が除外に。村は18年、黒島に焼酎蔵「無垢の蔵」を建設。村内での焼酎製造が始まった。

新酒の出荷を控える「みしま焼酎 無垢の蔵」
5年目の22年は10月中旬から焼酎造りに着手。取材時は二次仕込みの真っ最中だった。ろ過の工程を抑え、新芋の香り高く風味豊かな「荒濾過」にも取り組み、年内の出荷を目指す。芋の生産に関わった黒島・大里老人会の宮田實美会長は「村民が一つになって丁寧に芋を育てた。うまい焼酎は村の誇り」と胸を張る。島民が丹精込めた芋の味わいと黒島の水が織りなす“島の宝”は、蔵の中で巣立ちの時を待つ。
みしま焼酎 無垢の蔵
- 三島村黒島204-1[MAP]
- TEL:09913-3-2345
- HP /みしま村焼酎プロジェクト
焼酎「みしま村」「メンドン」ともにアルコール度数25度。希望小売価格720ml瓶3,600円
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よかもんのススメ…
こころ

鹿児島県の近海で捕れた魚介を使った海鮮料理が自慢
2022年7月に「かごっまふるさと屋台村(バスチカ)」の「南薩摩・離島」エリアにオープン。「無垢の蔵」の芋焼酎が所狭しと並ぶ。
菱田秀樹店長は20年まで近くで営業していた旧屋台村の開設当初からのメンバー。三島村の大山辰夫村長とは20年来の付き合いで「三島村推し」の店として再開した。
ランチの海鮮丼(980円)は県内産の魚介類をふんだんに使い、魚介でだしを取ったみそ汁付き。旬の時期には大名タケノコやカメンテなど村の特産品も並ぶ。菱田店長は「屋台村から三島村の魅力を発信したい」と張り切る。

こころ
- 鹿児島市中央町32-11鹿児島中央ターミナルビル地下1階(かごっまふるさと屋台村内)[MAP]
- TEL:090-8837-5644
- 営/平日=11:30~14:00、16:30~23:30、土=15:00~23:30、日=11:30~14:00、15:00~23:30
- 休/第1月曜、第2火曜
- HP /かごっまふるさと屋台村
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