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美山陶遊館館長 | 窯の中は手出しできない、偶然が完成品を生む

美山陶遊館館長・有馬 紫陽子さん

有馬 紫陽子さん
(モダン薩摩/日置市)

気品があり、繊細な白薩摩に、どっしりとした重厚感のある黒薩摩―。薩摩焼の里・日置市美山にある「美山陶遊館」は、ろくろ体験などで陶芸の面白さに触れることができる場所だ。美山に来て10年。さまざまな年代をサポートしてきた。「出来上がった焼き物を家で大事に使っていると聞くとうれしくなる」

基礎から学び、夢中になった陶芸

学生時代はインテリアのスタイリストに憧れていた。陶芸とは短大で出合った。「絵を描くのは苦手。織物よりは得意かも」と消去法で選んだ陶芸だったが、どんどんのめり込んだ。

ただ、卒業当初は職がなかった。帰郷し、鹿児島市窯業試験場に通い、3年間基礎から学び直した。「くだいた土を粘土状に練り、ろくろで成形するまで、技術的な部分をたたき込んだ。いかに基礎が大事かを痛感した」と振り返る。県内の陶芸界を代表する作家・尾之下彰三氏から学べたことも大きかった。職人気質の師匠は「作るのはいつでもできる。基礎をしっかり学びなさい」と教えてくれた。「ものづくりは楽しい」という原点に立ち返った。

モダン薩摩

自身の作品も色鮮やかにするなど、若い世代に手にとってもらおうと、趣向を凝らす

陶芸のだいご味は、全てを自分で仕上げるのではないところと考える。唯一、窯に入れて焼いている時間だけは手を出すことができない。窯内にどれくらい焼き物を詰めるかなど、状況によって焼き加減は変化。偶然が完成品を生み出す。「自分で作ったものが何十年も残り、海外で使われていることもある。もともと土だったものを形にできることに喜びを感じる」と目を輝かせる。アルバイトに来た学生たちにも、夢のある仕事であることを伝えている。

ものづくりの楽しさ、次の世代に

作品をつくるだけでなく、体験をする人々と関わり、ものづくりの楽しさを多くの人に知ってほしいという気持ちが大きくなった。2016年に有志でスタートさせた、月に1回の「美山の朝マルシェ」(コロナ禍で中断)もそんな思いで始めたイベント。来場者が陶器のみならず、木工やハンドクラフトなど、さまざまな手仕事に出合うきっかけとなっている。

秋は特に美山を多くの人が訪れる季節。コロナ禍で窯元まつりから衣替えした「美山クラフトウイーク」は、職人たちの間でも好評だ。自身の工房で、訪れた人に作品の魅力を伝えている。22年も10月29日から9日間開催される。「作り手にとっても、見てくれる人々に向き合える大切な期間」と語る。

ものづくりの楽しさを伝える先には、後継者育成も見据える。「陶芸にはろくろだけでなく、いろんな手法がある。柔軟な姿勢で“焼き物”を残していきたい」

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有馬紫陽子(ありま・しょうこ)さん
プロフィール

小学校入学を機に、父の地元である鹿児島市に転居。1995年に大分県立芸術文化短期大学を卒業後、帰郷し、96年から3年間、鹿児島市窯業試験場(市中小企業課天保山分室窯業室)で学ぶ。その後は陶芸指導をしながら、創作活動に励み、2012年から美山陶遊館の指定管理者である「モダン薩摩」に入社。15年から館長。自社商品の制作にも励む。

今これに夢中です

「ヨガ」

窯業試験場に通っていた時に「腰を痛めるので若いうちからヨガでケアをしておいた方がいい」と言われてはじめました。陶芸は全身を使い、2回ほど腕の神経まひを起こしたこともあります。体力づくりを兼ねてはじめましたが、深い呼吸はリラックスにもつながります。

資格について

特になし

今後の目標

多くの人々に薩摩焼という伝統工芸や、ものづくりの楽しさを知ってほしい

 

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