
自分をいたわる心地よい眠りのために…
蒸し暑く、なんだか寝苦しいこの時季。ちゃんと眠れていますか? 快適な眠りは元気な心と体を育みます。睡眠のプロたちに心地よい睡眠の秘けつを聞きました。しっかり眠って、毎日頑張る自分をいたわりましょう。
ちゃんと眠れていますか?

ちゃんと眠れていますか?
質の良い睡眠とはどんなものでしょう。睡眠時無呼吸症候群など、睡眠に詳しいかみむら耳鼻咽喉科(薩摩川内市)の上村隆雄院長に、気になるあれこれ、聞きました。
質の良い睡眠とは?
- 規則正しい睡眠、覚醒のリズムが保たれ、昼夜のメリハリが明確
- 必要な睡眠時間が取れ、日中に眠気や居眠りすることがなく、良好な心身の状態で過ごせる
- 中途覚醒が少なく、安定した睡眠が得られる
- 朝は気持ちよくすっきりと目覚める
- 目覚めてからスムーズに行動できる
- 寝床に就いてから、時間をかけずに入眠できる
- 睡眠で熟眠感が得られる
- 日中、過度の疲労感がなく、満足度が得られる
時間より質がとっても大事!

一般的に7時間睡眠が理想といわれています。ただ、大事なのは質。一晩のうちに深い眠りと浅い眠りを繰り返しますが、特に就寝後90分以内にやって来る深い眠りが重要です。この最初の深い眠りの波にしっかり乗りましょう。
睡眠の種類
眠っている間に二つの睡眠を繰り返しています。

レム睡眠
睡眠が浅く、脳は活動している。夢を見ることが多く、眼球が上下左右に速く動く。神経が興奮し、心身は活発な状態。発汗量が増え、血圧は上昇する。
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ノンレム睡眠
深い睡眠で脳が休息している。夢は見ない。副交感神経優位のリラックスした状態で、体は休まり、脈拍もゆっくり。発汗量が少なく、血圧は降下する。
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CHECK:睡眠障害

日本人の5人に1人が不眠の症状を感じています。夜間の「眠れない」という苦痛だけでなく、日中の眠気やだるさ、集中困難など心身にさまざまな影響があります。
- 入眠困難:横になってからなかなか睡眠に入ることができない。
- 中途覚醒:入眠することができても、深夜に何度も目が覚める。高齢者に多い。
- 早朝覚醒:予定した起床時間よりも早く起きてしまい、再度寝付くことができない。
- 熟眠障害:熟眠感のある、質の高い睡眠を得ることができない。
📢気になる不眠、医師に相談を!
不眠の理由を断つことが重要。どんな症状があるかによって、受診する病院も異なります。「めまいがひどい」と受診した人が、睡眠薬の飲み過ぎだったということも。「眠れない」と感じる度合いもさまざまです。気になる不眠や症状は医師に相談しましょう。
睡眠時無呼吸症候群って?

いびきがうるさい💢
どんな病気?
睡眠中に呼吸が止まる、または浅くなることでさまざまな障害を引き起こす病気。咽頭の筋肉や舌の付け根の筋力が緩み、上気道がふさがることで呼吸ができなくなります。
治療は?
問診後、睡眠時の血中酸素量や呼吸を簡易検査・精密検査で調べ、治療方針を決めます。軽症の場合は、ダイエットや飲酒の制限、禁煙を勧めます。気道がふさがるのを防ぐためのマウスピースの装着や、鼻・咽頭などの手術が必要なこともあります。重症の場合は、CPAP療法をします。
CPAP療法って?
装置からマスクを介して空気を気道に送り込み、常に圧力をかけて気道がふさがらないようにします。装置を適切に使えば、熟眠感が得られます。心・血管系疾患による死亡率も下がります。

CPAP療法
こんな人は要注意!
- 太っている人、首が短く太い人
- 舌が大きな人
- 顎が小さい人(痩せていても慢性的にいびきをかきやすい)
- いつも鼻が詰まっている人
睡眠時無呼吸症候群を放っておくと、脳血管疾患は4倍、糖尿病は1.5倍までリスクが高まります。睡眠時無呼吸が原因とされる交通事故も後を絶ちません。

📢運転中に眠気を感じる人は、早めに検査を!
まずはチェック! 「大きないびきをかく」「夜間に何度も目が覚める」「起床時に頭が痛い」「日中いつも眠い」という症状も要注意。最近はいびきを録音できるアプリもあります。睡眠時無呼吸の場合、オットセイの鳴き声のような甲高いいびきをかいていることが多いです。
教えてくれた人

かみむら耳鼻咽喉科院長:
上村隆雄先生
気になるいびきを放っておかないで。恥ずかしがらずに相談してください。
かみむら耳鼻咽喉科

質の良い眠りを作るには?

気持ちよい目覚めのために…
スリジエこころのクリニックで聞きました!
眠りのためのルーティン【朝】
📢決まった時間に起きて朝日を浴びよう:朝日を浴びることで体内時計のスイッチをONに。体内時計がリセットされると、その14~16時間後に眠気が出てくる。15分ほど浴びると◎
眠りのためのルーティン【昼】
📢昼寝は15~30分を目安に:30分以上寝てしまうと、深い眠りに入るので逆効果。
📢体を動かそう:目安は1日30分以上週5日。エレベーターを使わずに階段を使うなど、意識して運動を取り入れて。
眠りのためのルーティン【夜】
📢湯船に漬かる:ぬるめのお風呂(38℃程度)にゆっくり漬かると寝入りやすい状態になる。就寝の1~3時間前に済ませよう。
📢カフェインの摂取を夜は控える:日中もコーヒーは1、2杯にとどめる。
ストレスに注意!

ストレスは睡眠の大敵。体を覚醒させ、不眠の原因となります。心身をリラックスした状態に導いてくれるのが深い呼吸です。副交感神経をスムーズに動かし、リラックスにつながります。胸を張り、姿勢を正して、深呼吸を心がけてみてください。
意識して“無”の時間を

考え事をして眠れないとき、まずは壁や天井など一点を見つめて、1分間ぼーっとすることから始めてみよう。瞑想(めいそう)も取り入れてみて。
自分だけの「とっておき」でリラックス

パジャマやタオル、音楽、アロマなど、お気に入りを見つけてリラックスしよう。
質の良い眠りのために、寝る前のNG行為!
ついうとうと…

夕方から夜の時間帯にうたた寝することは避けて。夜の寝付きが悪くなります。
ついスマホいじり…

寝る前の1~2時間はブルーライトを避けるため、テレビ・スマホを控えましょう。目に光が入ると、神経が興奮してしまい、睡眠を妨げます。
教えてくれた人

スリジエこころのクリニック
院長:髙橋多鶴子先生
ベストな睡眠時間を理解し、生活リズムを保つことが大切ですよ。
スリジエこころのクリニック
- 鹿児島市南郡元町6-16-2F[MAP]
- TEL:099-208-0606
- 診療時間/10:00~13:00、14:00~19:00(土曜~17:00、金曜は女性のみ受付)
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