
本田 まゆみさん
(千日1・4開発・鹿児島市)
鹿児島市の天文館に誕生した「センテラス天文館」。10年近く、地権者として千日町1・4番街区の在り方を探ってきた。多くの人の気持ちを乗せ、ようやく船出を迎えた。「利用する人が満足して初めて完成といえる。やっとスタートラインに立った」
住み続けたい街へ天文館の未来描く
「天文館ににぎわいを」。2016年3月、市民に向けたアンケートで最も多く寄せられた声だ。地権者と従業員らでワークショップを開いては、天文館に何を求められているのか模索し続けた。「いろんな考えがあって当然。ただ、鹿児島の顔である天文館を良くしたいという目指す方向はみんな一緒だった」
出身は熊本県。01年に結婚を機に鹿児島へやって来た。家業の「ホンダ」は不動産管理の会社。経理として夫を支えてきた。転機は13年。夫が他界し、社長を務めることに。加えて、地権者として天文館の将来を考える役目も果たさなくてはならなくなった。12年8月には地権者を中心に「天文館まちづくり研究会」が発足。13年は再開発協議会を設立し、議論している最中だった。
「昔の“にぎわっていた頃”の天文館を知らない。見るべき方向は未来。住み続けたいと思える場所を作りたかった」。子どもたちに活気のある街を―。この思いに突き動かされた。そして、自身の本籍地もセンテラス天文館のある場所。家族のルーツともいえる場所を守りたかった。
みんなにとってのいい居場所でありたい
完成した施設は幅広い世代が集まり、つながる場所となっている。鹿児島県民にとって待ち合わせ場所の定番だった「タカプラ前」は、イベントスペースにもなるセンテラススクエアに姿を変えた。図書館は交流の拠点にもなりうる。
「物だけでなく、人にもチャンスにも巡り合えるはず」と目を輝かせる。老若男女が集まる施設。目指すのは、全ての人にとってのいい居場所だ。人々が活用することで、新たな発見をする場となり、心の成長にもつながればと願う。「苦しかったり、悩んだりしている人にも、ひとりぼっちじゃないよ、と寄り添える場所になれたら。この施設だったら、自分の居場所を育めるはず」
こだわりポイント
女子トイレはフロアごとにコンセプトを変えました。心地よい場所づくりを考え、壁紙や照明、鏡まで隅々にこだわりました。
本田 まゆみさん
プロフィール
1984年から看護師として内科病棟や緩和ケア病棟などでの勤務を経て、2001年に結婚し、鹿児島へ。13年、夫が亡くなり、ホンダ代表取締役に就任。千日町1・4番街区市街地再開発組合副理事長を務めた。現在、千日1・4開発取締役。18年4月には、鹿児島県内で第1号となる花セラピストに認定された。
- 今これに夢中です
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「サロンで人々を元気に」
2021年10月、鹿児島市加治屋町で「小さなサロンMaun」をオープンしました。花と心理学を融合した「花セラピー」と、色彩心理学を基にした「カラーナビゲーション」を使い、人々の悩みに焦点を当て、解決へのサポートをしています。鹿児島の人たちを元気にするお手伝いができればと思います。