
下吉 由依さん
(吉本鹿児島山形屋店/鹿児島市)
京都に本社を置き、着物の染み抜きなどの直しやリメイクを手掛ける専門店「吉本」。人間国宝の着物やハイブランドの洋服の修復を任されるなど、高い技術を持つ。
昨(2021)年、山形屋内にオープンした鹿児島店は、直しに加え、着物の販売・レンタルも行う会社初の呉服店形態の店舗だ。
伝統と歴史を重んじ、新しい視点で
鹿児島店でストアマネジャーを務める。店には成人式に向けた購入やレンタルの相談、寸法直しや染め替えなど、さまざまな要望を持った客が訪れる。
中でも多いのは、母親の振り袖を娘が着る「ママ振り」の希望だ。「受け継いだ着物でも、帯や小物を替えて今っぽくおしゃれに着こなせる」。持ち前のセンスとアパレル販売員だった経験を生かし、ヘアメイクやネイルを含めたトータルコーディネートを提案する。
日本の民族衣装である着物。長い歴史と伝統を持つだけに、「ハードルが高いという若い人も多い」。自身も元から着物に興味があったわけではなく、新卒で就いたのは洋服販売の仕事だった。着物の販売にも携わったのをきっかけに現在の会社へ。初めは知識不足で接客に自信を持てないことも多かった。
支えになったのは、直しの職人でもある社長の存在だ。「当店で駄目なら諦めてください」を社のキャッチフレーズに掲げ、「直し屋」としての確かな技術に胸を張る社長。自ら店舗を回り、接客に臨む。「社長は職人なので、細やかで奥深い接客ができる」。そして現場の社員には、「昔の考え方にとらわれず、どんどん新たな企画にチャレンジしていい、と言ってくれる」。会社トップの柔軟な姿勢は、着物の格式高い本質は残しつつ「入り口はもっと柔らかなものでいい。誰もが来店しやすい店でありたい」と考える現場を後押しする。
着物に込められた思いに寄り添う
静岡県出身。鹿児島は夫の地元だ。夫の美容院開業に合わせ鹿児島に移住し、子育てをしながら働く。
今年6歳になる長女のお宮参りや七五三では着物を着用した。特別感を味わえるのも、普段着として気軽に楽しめるのも、着物の魅力。「大切な着物に込められた思いや着る人に寄り添った提案を続けていきたい」
下吉 由依さん(しもよし・ゆい)さん
プロフィール
静岡県出身。文化女子大学(現在の文化学園大学)卒業後、アパレル販売会社・三松に就職。販売員として勤務したのち、店長やマネジャーを経験。結婚・出産を経て2018年、三松鹿児島店に異動し初めて呉服販売に携わる。21年、三松を退社し、吉本へ入社。鹿児島店のストアマネジャーとして、着物をはじめ洋服やバッグの直し、振り袖レンタル・販売業務にあたる。
- 今これに夢中です
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「健康食品」
30代も半ば。体は正直だな、と感じることが増えました。内側からのケアをするためにいろいろ試し中。ダイエットも兼ねて。ミーハーなので、流行(はや)りのものにすぐ食いつきます(笑)
今後の目標
新しい視点を持つ呉服屋、というのが吉本の魅力だと感じています。色々なことに挑戦しながら「吉本」をもっともっと広めていきたいです。そのために面白い楽しい企画を考えることが今の目標。

社長の新井修さん(右)と
吉本 鹿児島山形屋店
オープン1周年
2022年4月14日(木)から17日(日)まで1周年記念キャンペーンを開催。期間中は社長が来店