
オリエンタルユリと桜島
リリーアンバサダーにも就任した青年の物語。
立てば芍薬(シャクヤク)、座れば牡丹(ボタン)、歩く姿は百合(ユリ)の花―。美しい女性を花に例えたことわざだ。しなやかで優雅なユリは、咲く姿のみならず、上品な香りも魅力の一つだろう。
そんなユリづくりに情熱を注ぐ青年に出会った。霧島市溝辺でオリエンタルユリを生産する下久保直幸さん。「つぼみから開花まで、ゆっくりと変化する様子を楽しんでほしい」と思いを込める。
2018年には、ユリの魅力を発信する「リリーアンバサダー」に就任し、全国の市場や生花店を巡る普及活動に参加。その経験から「もっと生産現場のことを知ってもらいたい」と思うようになった。
出荷されたユリは新春の祝いの席、歓送迎会などの場を華やかに彩る。日持ちするため、最近は家庭での消費も伸びているようだ。訪ねた2021年12月は、まだ青々としたユリが、ビニールハウスでその時を待っていた。
純粋な思い。優雅に咲き誇る
18歳で後継ぎとして就農し、25歳からは生産を一貫して担うようになった。消費地の市場に何度も足を運び、販路開拓に明け暮れた。こだわるのは、2カ月もの時間をかける土づくり。栄養たっぷりの土壌で育ち、茎は太く、大輪の花を咲かせる。
生花店とも密にコミュニケーションを取り、ニーズや苦労に耳を傾ける。同時に何カ月もかかる生産過程を知ってもらうことにも努める。「花屋さんに活気が出れば、生産者のやりがいにもつながる」。願いは、生花店で花を手にする消費者が増えることだ。
「いい花をつくる努力を続けたい」と下久保さん。ユリの花言葉は純粋。真っすぐに注がれる愛情が、ユリの美しさの秘けつに違いない。
下久保花卉園
- 霧島市溝辺町竹子1540-4[MAP]
- TEL:0995-59-3864

よかもんのススメ…
フラワーショップ 花咲
「花を見れば、下久保君が純粋に向き合っていることがよく分かる」と社長の倉田大輔さん。ユリを購入する人の多くは、長持ちする上、その変化をゆっくり観察できるという持ち味を知っているそうだ。
「良い店にするために、良い農家と付き合いたい」というのが倉田さんの信条。「土づくりからつぼみで出荷するまでが生産者の仕事。その先、一番良い状態に仕上げるのが花屋の役割」と、温度管理や、ブドウ糖による栄養補給に気を配る。
2月14日はバレンタインデー。今年は愛情たっぷりの花を大切な人に贈ってみては。
フラワーショップ 花咲
- 鹿児島市紫原3-30-14[MAP]
- TEL:099-252-3350
- 営/10:00~19:00
- 休/なし
- P/3台
- HP/フラワーショップ花咲