
誰もが経験のある「もの忘れ」。歳を重ねたら「いつものこと」とやり過ごさないで。認知症の知識を蓄えることで、家族の「異変」に早く気付くことが大切です。
認知症になった時、どこに相談すれば良いのか、どんな制度があるのか、専門医や介護のプロに話を聞きました。
認知症専門医に聞きました

医療法人有隣会 伊敷病院
院長 植村健吾さん
1977年、精神科病院として父・彰さんが開院した伊敷病院。2013年、認知症専門医の健吾さんが院長に就任。「気軽に認知症の健診を」と「もの忘れ総合診療センター」を新設した。日本神経学会認定神経内科専門医、日本認知症学会専門医、認知症サポート医。
3大認知症の特徴と初期症状

アルツハイマー型認知症
原因:新しい情報を記憶する、脳にある海馬の衰え
特徴や初期症状:「さっきの出来事」を忘れる、覚えられないことが特徴。ものを置いた場所を忘れるので、「とられた」と訴える「もの盗られ妄想」は典型的な症状。何度も同じことを言う人も
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脳血管性認知症
原因:小さな脳梗塞などによる脳血管の詰まり。高血圧、コレステロール値の高い人は要注意
特徴や初期症状:「もの忘れ」と「身体症状」を併発するのが特徴。典型的な身体症状は、首から下の障害やろれつが回らないなど
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レヴィ小体型認知症
原因:後頭部の血流悪化が、視覚に影響を与える
特徴や初期症状:「幻視」が特徴。いない人が見える、動物や虫が見えると訴える。手足の震えや歩行障害など、パーキンソン症状を併発することもある
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5人に1人が認知症になる時代。気軽に健診を受けよう
「認知症」とは脳に起こる病気が原因で、できていたはずのことが、できなくなる状態をいいます。
65歳を超えると5歳ごとに発症率が倍増。高齢化社会が進むことで、2025年には65歳以上の5人に1人が発症するという予測もあります。80歳を超えたら、自ら定期的に「健診」を受けませんか。
早期発見で進行を緩やかに
認知症の約6割を占めるアルツハイマー型認知症は、本人に忘れている自覚がありません。周りの人が症状に気付き、通院を促すことが大事ですが、高齢化率の高い鹿児島県では、高齢者の1人暮らしや老老介護が課題です。
認知症は早期発見が大切。生活の改善やリハビリ、投薬によって進行を緩やかにすることで、初期の場合は症状を受け入れ、今後のことを自分で判断する時間を持つことができます。
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介護保険の利用に必要な要介護認定とは?
40歳以上の介護が必要な医療保険加入者などに適用される介護保険制度(40~65歳未満は特定の疾病がある場合)。介護保険サービスの利用には、要介護・要支援認定が必要です。在宅介護、施設入所、介護リフォーム、介護用具のレンタルなど、利用できるサービス内容はさまざま。
取材協力:鹿児島市介護保険課

要介護認定表
介護保険サービスの利用手順
- 本人または家族などが申請を。要介護・要支援認定申請書、介護保険被保険者証、健康保険被保険者証(65歳未満)が必要。
- 介護の必要性や程度(要介護状態区分)を、認定調査員が本人、家族と面談して調査する。
Point:家族からの聞き取り内容、医師の意見書も認定審査には重要。 - 審査会などを経て、申請から原則30日以内に認定結果(要介護状態区分)が通知される。
- 在宅介護か施設入所かを選択。要支援1・2は在宅でサービス利用。
- ケアマネジャーと一緒に、ケアプラン(どんなサービスをどれくらい利用するのか)などを作成し、申し込みを。
- サービス利用開始。本人の前年の所得をベースに、費用の1~3割の利用者負担でサービスを利用できる(上限あり)。
困った時は気軽に問い合わせを
鹿児島市介護保険課
TEL:099-216-1278
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こんなのあるんだ!介護用具(レンタル・販売)

iTSUMO2
iTSUMO2装着イメージ

iTSUMO(いつも)2
- ライフクリエイト
GPS機能で装着者の位置を確認できる、見守り支援機器。スマートフォンで管理する。外出時に使う靴やつえにも装着OK!
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くすりコール・ライト
- テクノスジャパン
LEDとアラーム音で服薬のタイミングを知らせる、カレンダー型の服薬支援機器。
アプリと連動させれば、服薬の確認もできる。
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紹介してくれた人

三井・メディックス
- 本社:鹿屋市上祓川町8469-1
- TEL:0994-40-3082
- 常務取締役 諏訪原英明さん(写真左)
- 在宅事業部営業部長 吉直幸清さん
- HP/三井・メディックス
介護する人がらくになると、介護される人は、もっとらくになります
1988年、介護用品の販売からスタートし、福祉用具のレンタル、グループホームの運営を開始。現場の声を生かしたサービスの提供を目指しています。福祉用具は介護のほんの一部。周りの連携・協力によって、それぞれで異なる介護事情を支えることができます。
鹿屋市では「認知症サポーター」のいる店に、「おれんじのまど」の看板を掲げる
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バリアアリーの介護リフォーム

Aさま邸・段差
足腰の筋力強化を目的に、リビングと和室との境目にあえて段差を設けた。
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おしゃれな手すり
バリアフリー仕様を好まない人には、おしゃれな素材を提案することも。
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Tさま邸・階段
部屋の中はフラットだが、自然と筋力を鍛えられるように、必ず使う玄関にだけは階段を設置。
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紹介してくれた人

堀之内建設 介護事業部 ライフケアまごころ
- 霧島市牧園町高千穂3864
- TEL:0995-78-2811
- 代表取締役 堀ノ内 茂樹さん
- HP/堀之内建設 介護リフォーム
介護する側の喜びのひとつとして、昨日できなかったことが今日できるようになること
創業者の父の介護をきっかけに、建築のプロと介護の有資格者のノウハウを生かした、介護リフォーム事業を2014年から始めました。「感動空間の提供」が会社の理念。「バリアフリー」だけではなく、機能回復を促す「バリアアリー」も取り入れています。住む人の気持ちに寄り添ったリフォームを提案します!
国分事業所(霧島市国分向花町8-45)では、介護用品や洋服、雑貨などの販売も
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