
焼き芋の原料・サツマイモは頴娃の地で輝く…
親子で育む至福の味を堪能…
アニメ「サザエさん」の主人公・フグ田サザエの好物の一つが焼き芋。移動販売車の声を聞きつけると、居ても立ってもいられなくなる。幅広い世代を虜にする秋の味覚だ。
一大産地の南九州市頴娃は、水はけのよい土壌と温暖な気候でサツマイモづくりに最適だ。大部分は大阪や愛知など、消費地へ出荷される。
9月下旬、上別府地区の農家・別府宏一さんを訪ねた。栽培するのは、紅さつま、シルクスイート、紅はるかの3品種。
「おいしいと言ってもらえてありがたい。特別なことは何もしてないけどね」と笑ってみせる。
訪ねた頃は、紅はるかの収穫真っただ中だった。収穫機で掘り出したサツマイモを選別し、丁寧に洗う。つやつやとした赤紫色の皮が美しい。40日以上貯蔵することで糖度が増し、ねっとりとした食感と濃厚な甘みを生む。
近年は茎に近い部分が腐敗する「さつまいも基腐病」に頭を悩ます。周囲との情報共有が欠かせない。見えない敵との闘い。それでも「やれることを当たり前にするだけ」と前を向く。
頼もしい助っ人がいる。植え付けや収穫など畑仕事となれば、懸命に汗を流す。小学3年生(2021年10月現在)の長男・蒼介君だ。
「畑に行くのは楽しい」とにっこり。別府さんは「機転が利くので助かっている。何より、喜んで手伝ってくれるのがうれしい」。畑はおいしいサツマイモだけでなく、人を育む場にもなっていた。
別府さんはインスタグラムでも畑の様子などを紹介している
/hina.suke【頴娃町】やきいも父さん
JAいぶすきえいさつまいも専門部
- 南九州市頴娃町牧之内1806
- TEL:0993-36-1134
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よかもんのススメ…
居酒屋017 よか晩
店を出るとき、きょうもよか晩だったって思ってもらえる場所にしたい―。森玲奈さんが2016年、自身の誕生日にオープンした。飾らない人柄の「玲奈さん」を尋ねて、幅広い世代の人々がやってくる。
「いい人が作っているものは絶対においしい」と生産者とのつながりを大事にする。実際に産地へ足を運び、おいしさの裏付けを探る。鹿児島の土地と人の温かさが感じられる店だ。
別府さん(既出のさつまいも農家の方)とはフットサル仲間が縁で知り合った。はちみつを付けていただく、紅はるか芋のスティックフライ(580円)は、素材本来の甘さが楽しめる人気メニュー。
「おいしい料理と焼酎、そして、会話をわいわい楽しんでほしい」と、満面の笑みを浮かべる玲奈さん。この笑顔に会いたくなる。
居酒屋017 よか晩
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