
貴重な加治木石
時代を超え愛される石…
石といえども、加治木石に冷たさや無機質な様子はない。白や黄色の淡い色合いや、ぼこぼことあいた穴が、温かくやわらかな雰囲気を醸し出す。
強いが、硬過ぎず加工がしやすいため、古くは加治木島津家の屋敷や民家の塀に使われるなど、加治木の町づくりに欠かせない存在だった。今も町を歩けば、学校や図書館に名残りをとどめる。
姶良市の木村ブロック工業では、10年ほど前から加治木石を取り扱う。採掘場はすでに閉じているが、昨年(2020年)亡くなった会長が生前に集めた石を、加工し、販売する。
「加治木石が大好きだったんです。古い建物や蒲生の武家屋敷が解体されると聞くと、飛んで行っていました。いい石だから後世まで残したい、と言って」。そう話すのは、会長の娘で社長の木村由美子さん。近頃、新しい建物の内装に使いたいとの注文が増え、「いろいろな場所で加治木の名が知られるのがうれしい」と顔をほころばせる。
姶良市文化会館・加音ホール近くの岩下八幡神社には、木村ブロック工業が寄付した加治木石のベンチが設置してある。ちょっと一休みしたいときに立ち寄ってみて。
地質学が専門の、鹿児島大学名誉教授・大木公彦さんも、加治木石に魅了される一人だ。
「種類が豊富な鹿児島の石の中でも、素晴らしい名石。石の中に小さな穴が多いので断熱効果に優れていて、夏は涼しく、冬は暖か。エコな石とも言えます」。
加治木石が使われている建物で大木先生の一押しは、鹿児島市の中央公民館。「晴れた日に見ると、特に素晴らしい」
地球の長い歩みの中で生まれた石を、時代に合わせ使い継いでいく。SDGs(持続可能な開発目標)がかなう素材としても、目が離せない。
木村ブロック工業
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よかもんのススメ…
ライカワークラウンジ
JR鹿児島中央駅東口の商業施設・Li-Ka(ライカ)1920。5階ワークラウンジの受付の壁には、加治木石のディスプレーが飾られている。
色味の違う石の組み合わせが、モダンな雰囲気を放つ。「県内外さまざまな人が訪れるので、鹿児島らしいものを使いたかった。上品ですね、とお客さまの反応もいい」と、チーフの加治屋紗代さんは話す。
ワークラウンジではほかに、桜島の灰を使ったランプシェードや革のパーテーションなど、地元作家の作品が使われている。
鹿児島の新たな「よかもん」を知る場としても◎👍
ライカ(Li-Ka 1920)ワークラウンジ
- 鹿児島市中央町19-40 5F[MAP]
- TEL:099-203-0724
- 営/9:00~19:00
- 休/ライカ休館日に準じる
- 料金/1時間:770円、3時間:1,100円など
- HP/ライカワークラウンジ
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