
川辺仏壇の蝶番の技術をデザインに取り入れたランプシェード
職人はいいものを作りたい…
「木地」「金具」「宮殿(くうでん)」「塗り」「蒔絵(まきえ)」「彫刻」「仕上」と、七つの工程を職人で分担し仏壇を作り上げる。「川辺仏壇工芸会館」でひときわ輝きを放つのは、2020年の「全国伝統的工芸品仏壇仏具展」で賞を受けた約880万円の仏壇だ。
欄間に施した彫刻の軍配や金具で制作した金の鶴など匠の技が随所に光る。しかし、生活様式の変化で仏間のない家が増え、仏壇の注文は減り続けている。「お客さまは安いものを求めるが、職人はいいものを作りたい」と組合専務理事の有薗英樹さんは肩を落とす。
「職人が前に出る時代」と、組合員で「川辺手練団」を結成したのは5年前。各職人と有名デザイナーがコラボレーションし、金箔で輝くスピーカーや木の軟らかさを生かした神棚、漆・金属加工の技術を施したスタックコンテナーなどを生み出した。
ヨーロッパの展示会に出品したのは、蝶番の技術をデザインに取り入れたランプシェード(=トップ写真)。ニューライトポタリー(奈良県)と、木原製作所、河村金具製作所、木原金属工芸社の3社の金具屋で作り上げた。
「蝶番を斜めに曲げる作業が難しい。光をともした時、天井にできた影の美しさに感動した」と木原製作所常務取締役の木原正裕さんは振り返る。素材は真ちゅうに銅、黒く染めた銅の3種類。八角、十二角と二つの大きさがある。「作り手だからこそ知っている商品の良さを伝えたい」。「川辺手練団」の旗の下、職人たちの団結力で新商品開発や販売に挑む。
川辺手練団(しゅれんだん)=鹿児島県川辺仏壇協同組合=
- 南九州市川辺町平山6140-4[MAP]
- TEL:0993-56-0240
- HP/川辺手練団 新商品紹介
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よかもんのススメ…
川辺仏壇工芸会館
「川辺手練団」の商品をはじめ、伝統的な川辺仏壇や仏壇の制作技術を生かした工芸品などを展示・販売する。「子どもが生まれた時に仏壇を購入することで、小さい頃から仏壇の前で手を合わせ、心を落ち着かせる習慣を」と呼びかける有薗さん。
組合では、川辺仏壇の購入、修復依頼で、工芸品をプレゼントするキャンペーンを実施中(無くなり次第終了)。
リメーク、小型仏壇の制作なども相談可。2階には体験作業場を設け、彫金の風鈴や螺鈿アクセサリーなどの体験も人気だ。
川辺仏壇工芸会館
- 南九州市川辺町平山6140-4(鹿児島県川辺仏壇協同組合内)[MAP]
- TEL:0993-56-0240
- HP/鹿児島県川辺仏壇協同組合
各種体験は4人から受け付ける。職人の日程調整が必要なため、事前予約が必要
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