
2020年にオープンした「藍染屋」。山緑と藍色の対比が美しい
吸い込まれそうなほど深くなる青…
かめの中の染料に漬かったストールを引き上げ、優しく絞る。ゆっくりと広げると、緑がかった色が瞬く間に青へと変化した。染めるたびに、吸い込まれそうなほど深くなる青。日本で古くから「藍色」として親しまれたその色は、「ジャパンブルー」と呼ばれ、海外でも人気を博す。
藍染めに使うのは、タデアイの葉から作られるスクモという藍染料だ。南さつま市の藍染師・神園一俊さんは、藍の一大産地である徳島産スクモと、枕崎のかつお節工場から仕入れた灰汁、工房内に湧き出る天然水などを用いて染料を作る。
染料の管理は五感に頼る。泡の色や匂い、手触り、味…。感性と経験がものをいう世界だ。杜氏が変われば酒の味が変わるように、藍もまた、染め師や風土により変化する。
神園さんは、出身地・都城市や綾町の工場で染色を学び、キャリアを積んだ。藍染め工房を持ちたいと物件を探して4年がたったある日、道に迷い出合ったのが現在の場所。小屋は廃れ、草が伸び放題だったが、石蔵や紅葉の木があり、天然水が湧いていた。一目ぼれした「宝物のような場所」を整備し、昨(2020)年2月に工房を開いた。
革を染める試みや鹿児島の工芸作家とのコラボレーションなど、新たな挑戦を続ける。先人たちが受け継いできた「藍文化」の伝統を守り、さらに発展させるために、藍と向き合う日々が続く。
藍染屋
- 南さつま市金峰町大坂7764-1[MAP]
- TEL:0993-78-2897
- HP/藍染屋
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よかもんのススメ…
藍染屋で藍染め体験
神園さんの工房「藍染屋」では、藍染めを体験することができる。天然の材料のみを使った伝統技法で体験ができるのは、全国的にもまれ。
「藍の匂いをかいだり、触ってみたり、天然だから安心して楽しめる。子どもたちが大きくなっても覚えていてくれたら」と、神園さんは話す。
ハンカチやバンダナなどが用意されていて(持ち込みは不可)、1~2時間程度で染められる。絞りを入れたり、グラデーションにしたり、「世界に一つだけの藍染め」を手に入れよう。
体験料
- ハンカチ:1,650円
- バンダナ:2,000円
藍染め体験は3日前までに要予約
- 営/10:00~18:00
- 休/なし
来店前に連絡を
予約・連絡先:【藍染屋】
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