
左から大野庵(阿久根市)、唐船峡 長寿庵(指宿市)
そうめんがおいしい季節がやって来た。つるっとすすれば、夏の暑さが癒やされる。そうめん流し発祥の地・鹿児島の「そうめん流し店」から、そんなお店に欠かせない「そうめん流し器」、さらには「麺つゆ」まで、奥深いそうめんの世界を紹介。夏の王道をいざ、極めよ!
- INDEX
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📢涼感…そうめん流しのお店を極めよ!
📢そうめん流しの立役者を極めよ!
- 回転式そうめん流し器(鶴丸機工商会)
📢めんつゆを極めよ!
📢涼感…そうめん流しのお店を極めよ!
大野庵
阿久根市
木造の店内には澄んだ山の風が通り抜け、川のせせらぎに耳をすませば心が洗われるようだ。
専用の機械を使ってゆで、氷水でしめたそうめんは絶妙な喉ごし。自社農園で栽培したアスパラガスを使う肉巻きに、阿久根産タカエビのみそ汁や素揚げなど地域の味覚も味わいたい。
売店の一番人気は、ソフトクリームの「モンブランソフト」。自社工場で加工した鹿児島県産のサツマイモ「紅はるか」のペーストを使用したオリジナル商品で、食後のデザートにぴったりの優しい甘さ。
- point!
大野庵
- 阿久根市鶴川内字龍ノ谷6686-4[MAP]
- TEL:0996-79-2130
- 営/10:00~15:00 日曜は17:00まで営業。夏休み期間は延長あり
- 休/なし(夏休み期間は毎日営業)
- 料金/そうめんセットメニュー(1,350円~)
- /ohnoan
営業時間・休日は夏季のものです。

唐船峡 長寿庵
指宿市
昭和42年に開業。そうめんは注文が入ってから全て茹でる。氷でしっかりとしめるのがコツなのだとか。
店内を演出するのは、平成の名水百選に選ばれた「唐船峡京田湧水」を引き込む滝とコイの泳ぐ水路。そうめん流しに使う水温13度の湧き水は、ほてった夏の体にひんやりと心地良い。
店内の水路を流れる冷たい水で、夏場もクーラー知らず。勢いよく流れる滝の音が涼しげ。インスタ映えする空間が広がる。
店内には6人掛けの円テーブルが88台、528席が並ぶ。お一人でも気軽にどうぞとのこと。
2階には子ども連れにうれしい畳の間も。窓からは新緑を眺めることができる。
粗塩が効いたマスの塩焼きや、注文が入ってからさばくコイのあらいなど川魚料理が名物。マスずしは臭みがなく、さっぱりとしていてそうめんを引き立てる。
- point!
長寿庵 開聞唐船峡店
- 指宿市開聞仙田77[MAP]
- TEL:0993-32-3155
- 営/10:00~19:30
- 休/なし(夏季無休)
- 料金/そうめん定食(1,370円~)
- HP/長寿庵 開聞唐船峡店
営業時間・休日は夏季のものです。

📢そうめん流しの立役者を極めよ
鶴丸機工商会の回転式そうめん流し器
胸にいつも遊び心…涼味支えて60年
夏の風景を支える回転式そうめん流し器は、鹿児島発祥だ。そうめんが回る様子を見ているだけで涼しくなるのは、鹿児島県民のさがなのかもしれない。生みの親である、鹿児島市山田町の鶴丸機工商会を訪ねた。
プラスチック加工を手がける同社が、流し器を作ったのは1961年ごろ。
唐船峡のある開聞町(現指宿市)から「回転式の流し器を作れないか」と相談され、故・久保兀(たかし)さんが開発した。ノズルから噴き出す水流と水圧を生かした。
後を継いだ息子の健市さんも、商品に磨きをかける。左利きの人向けに水流を逆向きにした、二層式の流し器などを世に送り出した。コロナ下では、家庭用の需要も集まる。「できないことよりも、どうすれば楽しくなるかを考えたい」と挑戦を続ける。
いつも前向きな健市さんに突如降りかかった災難が、2019年3月の火災だった。当時加治屋町に構えていた工場が全焼した。一時廃業も考えたが、周囲の人に支えられ再建。2020年6月、山田町で再始動した。「お世話になった人にまだ半分も恩返しできていない」と感謝を胸に汗を流す。
回転式の流し器誕生から60年。「子どもが喜ぶような遊び心を」とアイデアは尽きない。
写真協力/大野庵
指宿市営唐船峡そうめん流し
藤崎印刷
鶴丸機工商会

📢めんつゆを極めよ
協和のめんつゆ
すっきりとした甘さ、九州で愛され30年
- 協和食品工業(鹿児島市)
平成の名水百選「甲突池」を源流とする良質な水を生かして作るのは、枕崎産のかつお節のうま味と上白糖のすっきりとした甘さが際立つめんつゆ。
「一般の消費者向けに開発した、薄めずに使えるストレートタイプがヒットした」と3代目の吉井裕二社長は振り返る。発売から30年ほどたつが、変わらない味で九州各地にファンを持ち、2022年は創業70年を迎える。
- point!&Pick Up!
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代表取締役社長 吉井裕二さん
そうめんトッピングに揚げ玉はいかが。サクサクっとした食感が楽しい。職人が揚げるあげ玉は、粒が大きく、優しい香ばしさが特徴。わさび味やバターしょうゆ味など味付きのあげ玉もお試しあれ。
料理に使いやすいボトルに入った「あげ玉 チャチャチャ」シリーズや、味付きのパウダーとあげ玉をシェイクして、お菓子感覚で食べる「シェイクdeチャチャチャ」シリーズも。
協和食品工業

匠の味 濃縮つゆ
3代目こだわりのうま味とコク
- 吉永醸造店(鹿児島市)
3代目となる吉永広記社長が7年前、満を持して商品化したつゆ。先代の父・亨さんが作っためんつゆ(500ml/712円)に、コクをプラスした。食べるとだしのうま味が口いっぱいに広がる。
ヒミツは魚醤。煮物や吸い物に使えば、上品な仕上がりに。定番を築いた2代目の味と、挑戦を続ける3代目の味。探求心が詰まったつゆは、それぞれファンを得ている。
吉永醸造店

丁子屋のつゆ
濃くて甘い夏の“オアシス”
- 丁子屋(南さつま市)
このつゆ、そうめんに付けてもなかなか薄まらない。濃厚な甘さと、だしのうま味で箸が進む。
誕生のきっかけは、1987年の「吹上浜砂の祭典」。青年会議所が出店する「オアシス」で提供する、そうめんのつゆを作れないかと持ちかけられた。当時は真夏の開催。こだわりの甘さは、炎天下の暑さを癒やす。
誕生から30年以上たった今も、夏の食欲を刺激し続ける。
丁子屋本店
