
長島の「赤土ジャガイモ」
赤土の中でうま味凝縮…
3月、青々と茂ったジャガイモの葉が海風に揺れ、島に春の訪れを告げる。長島町では寒さに強く、生育の早い品種のニシユタカを栽培する農家が9割。1月の早春もの、4・5月の春ものと2回に分けて収穫を行う。
「ジャガイモと赤土は相性が良い。栄養度の高い粘土質の土がジャガイモをギュッと押し、中身を充実させている」。畑を案内してくれたのは、当時・長島町農林課の桐野雄一郎さんと本田一平さん。
桐野さんは農業者団体や関係機関とのつなぎ役。本田さんは東京からのUターンで、土壌診断などを担当している。葉の下の土を掘ると、コロコロと完熟前の小ぶりなジャガイモが顔を出した。
「春ジャガイモはうま味があり、みずみずしいのが特徴。ポテトサラダやマッシュポテトで食べてほしい」と勧める。
1975年から栽培が始まり、97年に「かごしまブランド」の指定を受けた。「赤土とみんなの協力があったからこそ産地として育つことができた」と田尻自治公民館長の上窪正志さんは振り返る。
田尻自治公民館は、インフラの整備や共有できる重機を導入するなどし、昨年(2020)度の「共生・協働型地域コミュニティづくり推進優良団体表彰」(鹿児島県)の奨励賞を受賞した。
「後継者不足が今後の課題。兼業や女性でも負担なく始められる農業環境をつくりたい」。海を望む段々畑では、次の目標に向かい、着々とスプリンクラーの整備が始まっていた。
赤土ジャガイモ(長島町)
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よかもんのススメ…
道の駅 黒之瀬戸だんだん市場
長島産の水産物や農作物、加工品が並ぶ、黒之瀬戸大橋そばの道の駅。設置するいけすには、近海で取れた天然魚から、養殖ブリ、半養殖の萬サバなどが泳ぎ、午前中は調理師一級資格を持つ社長・栫オサムさんが自ら魚をさばくことも多い。
4月になると、飛ぶように売れるのが名産の赤土ジャガイモ。1区画4,950円から募集する「春じゃがいも収穫オーナー」(長島町農泊協議会)の窓口も担う。20kgほど収穫でき、「購入するよりもお得。ジャガイモの収穫は力がいらないので気軽に応募を」。収穫のみや農泊体験の相談も受け付けている。
道の駅 黒之瀬戸だんだん市場
- 出水郡長島町山門野4093[MAP]
- TEL:0996-65-2222
- 営/9:00~18:00
- HP/道の駅 黒之瀬戸だんだん市場
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