
鹿児島市立美術館「魂の旅 遠藤彰子展」
「魂の旅 遠藤彰子展」(鹿児島市立美術館)を開催中(2021/5/5まで)の遠藤彰子氏に、作風から巨大画の描き方までインタビューしました。
遠藤彰子さんプロフィール
1947年東京都生まれ、武蔵野美術短期大学美術科油絵専攻卒業。
86年安井賞展・安井賞受賞、2007年芸術選奨文部科学大臣賞受賞、14年紫綬褒章受章。武蔵野美術大学名誉教授、二紀会委員、女流画家協会委員。
01~03年、10年~現在、南日本女流美術展審査員。1989年に二紀展で500号の『みつめる空』を発表。
以降、500号~1500号の大作に挑み続けている。
絵画に目覚めたきっかけは
子どもの頃から絵を描くのが好きで、先生や親に褒めてもらえるとうれしかったなぁ。短大の美術科を受験した時は、人生で一番勉強をしました。
作風が変わった転機は
20代で訪れたインドの貧富差に人の生と死を見ました。その時感じた「つらいことがあっても死ななければいい」という思いは、一生絵を描き続けたいという決心につながっています。
妊娠中に描いた『部屋』(1976年)は、日記のようにその時の気持ちや思い出を、一日一部屋ずつ描いたものです。(後の『街シリーズ』に影響を与える作品に)
『街シリーズ』は、不安感と楽しさが同居する、抽象性を秘めています。長男の突然の病で意識した、何の前触れもなく暗転する日常、死への恐ろしさに、「『楽園(シリーズ)』のままでは通用しない」と自分の中で考え方が変化しました。
大作シリーズを描き始めたきっかけや描き方は
『街シリーズ』を描きながら迷走していた30代後半から40代前半。「空は上、土は下じゃなくてもいいんじゃないか」と思い、500号の『見つめる空』では二つの空を描きました。
大きな絵は動きがないとだめ。優雅にニュッと動かせるタコを描いたり、火や水を差し込んでみたりと、流動的なものを加えることで四角をいかにして壊すか…。タコは好きじゃないんですけどね。
1,500号の『鐘』(2007~08年)で描いたのは、食を中心に普遍的な繰り返しの中で生きる人たち。大きな感覚と小さな日常を絡ませながら、重層的な世界を描きました。
創作過程について
テーマを決めると、ハガキサイズから構想を始め、白・黒の置き方、バランスなどを考えながらデッサンに2カ月ほどかけることもあります。デッサンは数百枚を超えますが、描き始める時には捨ててしまいます。デッサンに縛られずに、新鮮なイメージで描いています。
集中したい時は電話を切って、夜中から黙々と12時間ほど描き続けることも。大きさの違う5つの脚立を使って描きます。体力には自信があります。マラソン大会はいつも1番の子についていって2番、中学時代には陸上の砲丸投げをしていました。
鹿児島での展覧会「魂の旅」について
作品に添えた説明書きを読みながら、近づいてみたり、遠くから眺めてみたりとお楽しみください。これからも、毎年1作ずつ描き続けます。
魂の旅 遠藤彰子展
- 期間:2021年5月5日(水・祝)まで
- ところ:鹿児島市立美術館[MAP]9:30~18:00
- 入場料/一般・大学生:1,200円(前売り=1,000円)、小・中・高校生:600円(前売り=500円)
- 主催/鹿児島市立美術館、南日本新聞社
- 特別協賛/光学堂
- 協賛/竹添不動産
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