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鹿児島の日本遺産、武士が生きた町「麓」を歩く休日を…

鹿児島の日本遺産、武士が生きた町「麓」を歩く休日

鹿児島の日本遺産、武士が生きた町「麓」を歩く

鹿児島県内各地に残る、武家屋敷群「麓」。2019年、文化庁から「日本遺産」に認定されました。江戸時代を生きた薩摩藩士に思いをはせながら、石垣の残るいにしえの道をぶらり散策。麓の基礎知識から、見どころまで紹介します。

「日本遺産」とは?

鹿児島城跡に再建した御楼門

鹿児島城跡(歴史・美術センター黎明館)に再建した御楼門。高さ、幅ともに20mと国内最大級の城門

海外からの観光客を地方に呼び込むため、2015年に始まった文化庁が定める制度。全国各地に残る歴史・伝統・文化をテーマごとに「日本遺産」として認定し、環境整備や情報発信による後押しで、各地の観光地化を図る。

鹿児島で日本遺産に認定されているのは、鹿児島城跡と11の麓(喜入、出水、入来、蒲生、串木野、里、手打、加世田、知覧、垂水、志布志)に関連する文化財。

薩摩藩には武士が多かった!?麓のモデルは鹿児島城

麓の典型的な構成

麓の典型的な構成

江戸時代、薩摩藩の4分の1が武士(侍)だった。その数は他藩と比べて多く、藩内の各地に分散して住む、独自の外城制度がとられていた。その痕跡は麓として、今も県内100カ所ほどに残る。

麓のモデルは、上山城(現城山)のすそに居館(現歴史・美術センター黎明館)があり、そこを中心に町割りをした鹿児島城下。中世に築かれた山城を基に、中心となる役所や領主の屋敷である御仮屋を建て、町割りを行った麓が多い。

武士の暮らし

薩摩藩の武士は、自らの石高を補い、生活を支えるために農業や内職を行っていた。内職だった蒲生和紙や垂水・帖佐人形などは、伝統工芸品として今も地域で受け継がれる。

垂水人形

贈り物の人形として広まった、垂水市指定有形文化財の垂水人形

蒲生和紙を使った商品

蒲生観光交流センターで販売する、蒲生和紙を使った商品

武士が好んだという「つけ揚げ(さつまあげ)」や「焼酎」は、海外と交流のあった薩摩藩ならではの名産品。「つけ揚げ」は中国の「チキアーゲー」、「焼酎」は海外の蒸留技術から影響を受けた。

教えてくれたのは

鹿児島県教育庁 文化財課文化財主事 真鍋雄一郎さん

鹿児島県教育庁 文化財課
文化財主事 真鍋 雄一郎さん

今回紹介する「麓」index

出水麓(出水市)

武家屋敷群内を巡る牛車体験

武家屋敷群内を巡る牛車体験。牛車を引く黒毛和牛のちはる(8歳、♀)は、大河ドラマ「西郷どん」にも出演した

国境の防衛拠点。牛車で悠々

  • 出水麓武家屋敷群[MAP
  • 観光ガイド/
     観光いずみボランティアガイドの会=0996-63-4061
     いずみ観光牛車会事務局(ホテルキング内)=0996-62-1511

肥後藩との境で重要な防衛拠点だった出水。江戸時代、丘陵地を平らに整地し、道路を格子状に掘り込んで計画的に麓が作られた。武家屋敷群の43.8haが国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。

東京ドーム9個分と薩摩藩で最も規模が大きいので、牛車でのんびり散策がお勧め。「竹添邸」「税所邸」は庭や室内が公開され、武士の暮らしぶりを感じられる。

出水麓武家屋敷「税所邸」

雨天時の弓の練習場や隠れ部屋などがある税所邸

★Break time!★

中井勝郎美術・古文書館

中井勝郎美術・古文書館

中井勝郎美術・古文書館

1858年に建築された旧二階堂邸。岡本太郎に師事した洋画家、中井勝郎(1935~2014)の作品を中心に現代美術作品や古文書を展示する。西郷隆盛も滞在し、部屋には直筆の書などゆかりの品も。

  • 出水市麓町22-35[MAP
  • TEL:0996-62-2343 開館日は問い合わせを

志布志麓(志布志市)

平山氏庭園

寺院庭園の平山氏庭園。大きな岩盤がダイナミック

岩盤を生かした庭園をめでる

  • 平山氏庭園[MAP
  • 観光ガイド/志布志市総合観光案内所=099-472-2224

中世に砦の役割を担った四つの山城の狭い谷筋に、線状に築かれた武家屋敷群。高鍋藩との国境、貿易港として重要な役割を果たした。

志布志城の城郭符

志布志駅では城郭符(300円)の販売も

道沿いにはきれいな湧水が湧き、山裾の岩盤を生かした「平山氏庭園」や海の岩を使う「天水氏庭園」など迫力のある庭園が並ぶ。

周辺には中世の面影を残す大慈寺や宝満寺も。大慈寺の門に建つ阿形相は、石造彫刻の仁王像で唯一の県指定文化財。

大慈寺の阿形相

大慈寺の迫力のある阿形相

★Break time!★

大慈寺(だいじじ)

大慈寺

大慈寺

西郷隆盛や大久保利通も通ったと言われる大慈寺で、写経や座禅体験(事前要確認)はいかが。喧騒を離れ、心落ち着かせるひとときを。

  • 志布志市志布志町志布志2-1-19[MAP
  • TEL:099-472-1179

里麓・手打麓(甑島・薩摩川内市)

里麓の武家屋敷群

島の情緒漂う里麓の武家屋敷群

手打麓

海風を感じながら散策できる手打麓

外国船を監視…海に臨む麓

  • 里武家屋敷跡[MAP
  • 手打麓(下甑郷土館付近)[MAP
  • 観光ガイド/
     上甑島観光案内所=09969-6-3930
     下甑島観光案内所=09969-5-1800

甑島の麓は本土と異なり、外国船の監視のため海に面している。「海上航路の要衝で薩摩藩の密貿易の基地。江戸時代の甑島は世界から見て重要な場所だった」とボランティアガイドの塩田秀雄さん。

上甑島の里麓は中世の山城・亀城跡の裾にある御仮屋跡を中心に武家屋敷群が広がる。

武家屋敷群の一角で出土した弥生時代の土器

武家屋敷群の一角で出土した弥生時代の土器

鳥ノ巣山展望所から望む甑大橋

鳥ノ巣山展望所から望む甑大橋。中甑島と下甑島を結び、2020年8月開通した。県内最長の1,533m

甑島最南端、下甑島・手打集落の中央を走る旧道に、約700mに及ぶ武家屋敷の町並みが残る手打麓には、平家の落人が住居を構えたとの言い伝えも。

手打武家屋敷入り口

敵が侵入しにくい造りの武家屋敷入り口

里も手打も立派な武家門や屋敷はないが、玉石垣に囲まれた素朴なたたずまいと島の風情が調和して美しい。

★Break time!★

こしきの宿 石原荘

こしきの宿 石原荘「キビナゴ料理」

キビナゴ料理

その日獲れたキビナゴや黒鯛、ミナ(貝)など新鮮な海の幸をたっぷり食べさせてくれる人気の宿。新館は洋室で全室にトイレ・シャワー室完備で快適に過ごせる。

こしきの宿 石原荘

こしきの宿 石原荘

  • 薩摩川内市里町里3522-1[MAP
  • TEL:09969-3-2168

垂水麓(垂水市)

林之城・御仮屋跡前に建つお長屋

林之城・御仮屋跡(垂水小学校)前に建つお長屋

一門家が築いた、格式の高い麓

  • お長屋(旧林之城長屋門)[MAP
  • 観光ガイド/垂水市教育委員会 社会教育課(垂水市文化会館)=0994-32-7551

島津一門家・垂水島津家が築いた格式の高い麓。林之城・御仮屋跡(垂水小学校)前の橘通を中心に、犬之馬場通、中馬場通と格子状に広がる町割りが今も町に溶け込む。

垂水島津家墓所

垂水島津家墓所

垂水島津家墓所に並ぶのは、垂水の地を約260年間にわたり治めた初代から16代までの墓。手入れを担う観光ガイドの川﨑あさ子さんは「建物はあまり残っていないが、武士の風習や言葉は今も地域に受け継がれている」。

蒲生麓(姶良市)

御仮屋跡地に残る門

乳鋲をあしらう御仮屋跡地に残る門

大クスが見守る武家屋敷群

  • 薩摩藩蒲生麓・御仮屋門[MAP
  • 観光ガイド/蒲生観光交流センター=0995-52-0748

注目したいのは、身分の高さを表す石高によって変わる門の形や大きさ。クス木材を使う百石の豪華な門や、「無事に帰ってくるように」とカエル模様の装飾を施す門などさまざま。石畳で整備された武家屋敷通りは、加治木の溶結凝灰岩を使う切石の石垣と植栽の緑が美しい。

武士の仮装グッズ

蒲生観光交流センターには武士の仮装グッズも

蒲生八幡神社境内の大クス

蒲生八幡神社境内の大クス

町を見守るようにそびえる蒲生八幡神社の大クスは、樹齢1,500年を超える。目通り幹囲み24.2mと、その幹の太さは日本一だ。

★Break time!★

カフェ らびゅう

カフェ らびゅう「煮込みハンバーグ ランチセット」

煮込みハンバーグ ランチセット

1日15食限定、姶良産のあご肉を使う「煮込みハンバーグ ランチセット」(1,100円)。武家屋敷通り沿い、築120年を超える古民家でほっと一息、至福の時間を。

  • 姶良市蒲生町上久徳2324[MAP
  • TEL:080-2772-5644

串木野麓(いちき串木野市)

旧入来邸武家屋敷

五葉松やイヌマキの古木が残る旧入来邸武家屋敷

山城中心に幕末の面影

  • 旧入来邸武家屋敷[MAP
  • 観光ガイド/いちき串木野市総合観光案内所=0996-32-5256

島津家久が戦国時代後期に治めていた串木野城を中心とする麓。串木野城は1215~20年頃、串木野三郎忠道によって築城された山城で、外敵を防ぐ切通し(堀切)跡などがあり、散策路も整備されている。

串木野城址城郭符

串木野城址城郭符(資料付き300円)

幕末期の「旧入来邸武家屋敷」には武家門や石垣、参勤交代で苗を持ち帰ったとされる古木などがある。地元住民の加藤正徳さんが自宅の石蔵を改装した歴史資料収集館では、マニア垂ぜんのお宝に会える!?

★Break time!★

串木野市漁協直営 海鮮まぐろ家

海鮮まぐろ家「串木野漁師飯」

名物の「串木野漁師飯」

注文に迷った時は名物の「串木野漁師飯」(1,320円)を。遠洋漁業で栄えたマグロの町いちき串木野市で、極上のマグロに舌鼓。隣接する「さのさ館」では、特産品の販売も。

  • いちき串木野市上名3018-3[MAP
  • TEL:0996-33-5015

入来麓(薩摩川内市)

二ツ屋住居(旧増田家住宅)

二ツ屋住居(旧増田家住宅)。屋根のふきかえ作業は25~30年に一度行う

麓の特色残す町並み

  • 旧増田家住宅(延命院跡)[MAP
  • 観光ガイド/入来麓観光案内所=0996-44-5200

趣のある町並みを作るのは、つなげれば約4kmにおよぶ玉石を積み上げた石垣の道。川と山に囲まれたコンパクトな麓は、道幅も広く散策にぴったりだ。

石垣

石垣には樋脇川の玉石を使う

清色城・御仮屋跡に建つ入来小学校前には、春になると御仮屋馬場のお堀沿いに咲く桜が美しい。かやぶき屋根の「二ツ屋住居」(旧増田家住宅)は、大正期の暮らしを再現する国の重要文化財。鹿児島の武家住宅の特徴である、別棟型民家の形を残す。


 

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