
慰謝料とは苦痛の値段を決めること…
誰もが予期しない交通事故。もし被害者となってしまった場合、ケガの治療はもちろんですが、治療が終われば損害賠償金を巡って交渉しなければなりません。
通常は、加害者側の保険会社から、「これくらいでどうですか?」と示談書の提示があり、示談書にサインをすれば賠償金が支払われます。ところが、保険会社から提示された額が適正かどうかの判断は難しいものです。
例えば、精神的苦痛に対する賠償である「慰謝料」の場合、「あなたの苦痛はこれくらいの金額です」と言われても、納得する人は少ないでしょう。「これが相場ですよ」と保険会社に言われても、「相場って何??」と聞きたくなるのではないでしょうか。
慰謝料の算定には一定の基準がある
実は、慰謝料の額は、一定の基準を参考にして決められています。慰謝料を決める表のようなものが存在するのです。その意味では、確かに相場が存在します。
ところが、やっかいなことに基準は複数存在し、結局は相場にも色々あることになるのです。しかも、基準の選択次第で慰謝料の金額が大きく変動するのです。
具体的には、自賠責保険が定める基準、任意保険会社が定める基準、裁判所が用いる基準があります。これらは、後者になるほど金額は大きくなる傾向にあります。
ですから、適切な基準が用いられていない場合には、不当に低い金額で示談してしまうことになりかねません。
したがって、示談書にサインをする前には、適正な基準が用いられているかをきちんとチェックする必要があります。その判断には専門的な知識が必要となるので、専門家に相談されるのが一番よいでしょう。

画:弁護士 中村 真
《あとがき》
交通事故における慰謝料の基準についてお話しました。交通事故案件を処理していると、基準が存在するということは意外なほど知られていません。たしかに慰謝料の基準表なんてものは、普通に生活している限り、お目にかかることは少ないかも知れませんね。
とはいえ、基準の選択次第で示談金額が大きく変わってくるのは事実です。適正な補償を受けるためにも、専門家の助言を受けることはとても重要です。
最近では、弁護士費用を保険会社が支払ってくれる特約(弁護士費用等担保特約)が付いていることも多く、これを使えば費用負担なしで弁護士に全て任せることができます。
ご自分又はご家族の加入している自動車保険を、一度確認してみましょう。
解説してくれた人

弁護士法人あさひ法律事務所鹿児島事務所
牧瀬 祥一郎 先生
- 鹿児島市山之口町12-14 太陽生命鹿児島ビル4F
グーグルマップで場所を確認 - TEL:099-216-5010