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過払い金発生の仕組みとは | 弁護士による法律の話

過払い金発生

利息制限法を上回る利率は、事実上すべて無効!

よくテレビなどで「借金を返しすぎていませんか? 返しすぎたお金を取り戻しましょう!」という内容の広告が流れています。

いわゆる「過払い金」というものですが、これまで必死に借金を返していた人が、逆にお金を返せと主張することになるのですから、これが発生する仕組みについては不思議に思った方も多いのではないでしょうか。

借金の利息については、利息制限法により最大年20%と定められています。ところが、実際にはこれを上回る利率での貸し付けが行われていました。貸金業法の規定により一定の場合にはそのような利息を有効としていたからです。

ところが、2006年に最高裁判所は、貸金業法の規定の適用場合を非常に限定的に解釈する判決を出しました。これにより利息制限法を上回る利率は、事実上すべて無効となりました。

そうなると、利息制限法を上回る利率で借金をしていた人は、余計な利息を払い続けていたことになります。これを元本の弁済に充てていくと「借金の返しすぎ」が生じ、これが「過払い金」となります。返しすぎかどうかは、貸金業者から取引履歴を取り寄せた上、適法な利率で計算していくと比較的簡単に分かります。

実際、借金の返済で苦しいと相談に来られた方が、借金残金がゼロになるどころか、過払金を受け取って帰っていくということは、それほど珍しいことではありません。現在でも、これだけ過払いの広告があるのに、未だに返さなくてよい借金を返している方が相談に来られることがあります。

「もしかしたら自分も余計な利息を返しているかもしれない」と思ったら、一度は弁護士や司法書士に相談すべきでしょう。

画:弁護士 中村 真

画:弁護士 中村 真


《あとがき》

貸金業者に過払金の返還請求をすると、多くの場合請求額からかなり減額して和解することを、貸金業者側から求められます。過払金全額を回収するためには、訴訟を起こすしかないのが現状です。

この場合、貸金業者側は時間稼ぎをするため(鹿児島地裁ではなく京都地裁で審理すべきだとして管轄を争われることもあります。そのような主張はほとんど却下されますが、それでも手続に時間がかかるのです)、解決が遅れてしまいます。体力のない貸金業者の場合だと、訴訟の間に倒産されてしまうリスクもあります。

したがって、実際に過払金の相談を受けた場合には、時間がかかることや倒産リスクを説明した上で、相談者に方針を決めてもらうことになります。
一度和解をしてしまうと、これを覆すことはできませんから、よく考えて決める必要があります。

Felia! 2014年4月5日号掲載

解説してくれた人

牧瀬先生

弁護士法人あさひ法律事務所鹿児島事務所
牧瀬 祥一郎 先生

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