
らっきょうの甘さやしゃきしゃき食感を生かした「かき揚げ丼」
砂丘の地に根付き70年…
日本三大砂丘の一つに数えられる吹上浜。5月に入り、防風林に響くセミの音と、吹き上げる熱風が一足早い夏を告げる。
1950年、この浜にほど近い、砂丘地帯の小湊地区から砂丘らっきょうの栽培が始まり、今では南さつま市を代表する特産品となった。さらさらと手からこぼれ落ちる砂にも固く根を張る。青々と細長い葉は風になびき、周辺に独特の香りを放った。
昨年(2019年)は20トンほど収穫したという「小宮357ファーム」。農業歴3年になる小宮福太郎さんは「らっきょう栽培は独特で楽しい」。焼けた肌に爽やかな笑顔が弾けた。「生命力が強く、切るとすぐに芽が出てくるので、一晩乾燥させてから出荷する」。4月下旬から収穫が始まり、6月には次年度に植える種の収穫に切り替える。「種選びは、来年の出来につながる大切な作業」
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サンセットブリッジを見上げる万之瀬川河口、ファームの代表で母の智子さんが営む「mojo cafe 357」は、採れたての地元野菜を使った料理を提供する農家直営のカフェ。元看護師で、市観光協会の理事を務める智子さんは「食育には興味があった。地元の食材を使った、体に優しい料理で地域を盛り上げたい」。
昔からの作り方にこだわったらっきょうのピクルス(酢漬け)。甘酢や黒酢味などがあり、オリジナルのらっきょうドレッシングはホテル京セラ(霧島市)のバイキングでも提供中だ。
新メニューのかき揚げ丼(=トップ写真)では、らっきょうの甘さやしゃきしゃき食感を生かし、葉の部分も残さずに使う。「主役になれない野菜だからこそ、いろいろな食べ方を広められたら」。浜風にも負けない、たくましいらっきょうパワーに元気をもらう。

mojo cafe 357(小宮357ファーム)
- 南さつま市加世田高橋1934[MAP]
- TEL:0993-76-8070
- 営/7:30~L.O.19:30(=カフェ)
- 休/月曜(=カフェ)
- HP/KOMIYA357FARM
- /mojocafe357farm
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よかもんのススメ…
道の駅 きんぽう木花(このはな)館
国道270号沿いにある、地元野菜や鉢花、南さつま市の特産品などを販売する道の駅。名物に特別栽培米の金峰コシヒカリ石蔵米と、南さつま産のそば粉を100%使うそばがあり、施設内のレストランでは、打ち立てそばを味わえる。
砂丘らっきょうの販売は、毎年4月下旬頃から始まる。「店頭に並ぶとすぐに売り切れてしまうほど人気」と話すのは支配人の仮屋公志さん。「砂丘ブランドを求め、市外から訪れるお客さまも多い」。らっきょう購入の際は、電話での事前予約を勧める。
道の駅 きんぽう木花館
- 南さつま市金峰町池辺1383[MAP]
- TEL:0993-77-3988
- 営/9:00~18:00(11~3月は17:00まで)レストランは11:00~L.O.14:30
- 休/第2火曜
- P/あり
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鹿児島よかもん紀行MAP

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