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天文館で働く人が農家の助っ人になった

オクラ苗の植え付け

追立幸二さん(手前左)の指導を受けながら、オクラ苗を植え付ける参加者

 4月15日朝。桜島を見下ろす鹿児島市喜入瀬々串町の畑。10人ほどの男女が慣れない手つきでオクラの苗を植えていた。長靴にゴム手袋姿の一行は、天文館で働くホテルや飲食店のオーナーや従業員たちだ。

「なぜ畑にいるんですか?」

畑に着いて案内を受ける

畑に到着し、追立幸二さんに農園の説明を受ける

海の向こうに石油基地が見える

畑を歩くと、海の向こうに石油基地が見える。絶景だ

ポットに入った苗

植え付け前のポット苗。3日間で1万3000鉢を植え付ける

 新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う外出控えの影響で、天文館は大きなダメージを受けている。特に、歓送迎会シーズンと重なった飲食店は大幅な減収を余儀なくされた。一時休業や営業時間短縮に踏み切る店も少なくない。ホテルも同様だ。観光客はめっきり姿を消し、ビジネスマンの出張も減った。

南洲館の橋本龍次郎さん

農家と天文館の橋渡しをした橋本龍次郎さん(左)。丁寧に苗を植える

「従業員の食いぶちを確保しなければ」

 鹿児島市中央公園近くでホテル&レジデンス南洲館を経営する橋本龍次郎さん(56)は、つてを頼りに相談を繰り返した。「農家さんが、苗の植え付けで人手がいると言ってたよ」。橋本さんは早速、連絡を取った。無償ボランティアではなく、作業に応じて報酬が発生する仕組みだ。「例年、親せきや地域住民の力を借りるんですが…高齢化も進んでいてですね。こういう助っ人は本当にありがたいです」。農園を経営する追立幸二さん(68)は、息子の将臣さん(37)と笑顔を浮かべる。

追立さんと西野さん

作業の合間に天文館の現状を語る

「天文館のピンチ…なんとかしたい」

 父親の幸二さんは早朝、天文館アーケード内にある物産館へ野菜を納品に行く。「以前ならカラオケ店から楽しそうに出てくる若者の姿が日常だったんだけどね。4月になって、全く見なくなった。野菜も売れなくなった。天文館の大変さは、私にも十分伝わっています」

 天文館の飲食店に呼び掛けてテイクアウトやデリバリーを盛り上げるグループ「天文館出前便」をSNSで立ち上げた焼き肉店主、原口武義さん(44)も参加した。「誰かが取り組んで良かったものは、みんなで共有して、まねしていけばいい。働く選択肢が増えることは、天文館のみならず、みんなにとって意味がある。手を取り合って頑張っていきたい」と話す。

苗植えに励む原口さん

「天文館出前便」を立ち上げた焼き肉店主の原口武義さん(手前右)

2代目の将臣さん

ポット苗を運ぶ追立農園の2代目、将臣さん

「収穫したオクラを天ぷらに!」

 オクラ苗の植え付け作業は3日間で1万3000本。6月中旬には収穫が始まる予定だ。参加した天ぷら店主、神園優さん(39)は「自分で植えたオクラを天ぷらにできる。収穫が楽しみです」。発起人の橋本さんは「各地域で農家さんからの需要はあると思う。みんなの協力でこの難局を乗り越えられるように、知恵を絞りあっていきたい」と話した。

指導を受ける

「このオクラを天ぷらにするのが楽しみ」。天ぷら屋の主、神園優(手前右)さんは楽しそうだ

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長期化する新型コロナウイルス禍。4月16日には緊急事態宣言が全国に拡大された。日一日、刻一刻と状況が変わっていくなか、それぞれの地域で、たくさんの人が、「いま、できること」を模索している。暮らしの現場で奮闘する姿を追う。

(フェリアWEBチーム、随時掲載)

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