
祝の場を彩る日本の伝統工芸!継承される手染めの大漁旗・のぼり
染め職人は減少の一途…
日本伝統の印染(しるしぞめ)を昔ながらの手染めで継承する亀﨑染工。明治2年に熊本で創業、40年に串木野に移った老舗だ。
漁師町に欠かせない大漁旗や五月の節句の幟(のぼり)、のれんや法被といった染め物を製造・直売している。
2月、工房を訪ねると、進水式を控えた新造船の大漁旗と「牛若丸と弁慶」の武者幟の染め付け作業中だった。職人が一色一色、大小の刷毛(はけ)で色をのせていくと、躍動感に満ちた極彩色の世界が立ち上がってくる。
印染は布に家紋や文字を染め抜く技術。のりで文字や図柄の輪郭線を引いて下絵を描き、顔料・染料で色付けする。乾燥させ、のりを洗い落とせば白い縁取りが現れ、鮮やかに図柄を際立たせる。
5代目の亀﨑昌大さんは手染めの魅力を「良くも悪くも、線が柔らかい。武者の顔が職人によって違うのも、手仕事ならでは」と語る。
生活様式の変化や印刷技術の発達…。染め職人は減少の一途だ。亀﨑さんは若い感覚に訴える新商品開発や海外進出を図る一方、まずは自分たちの仕事を知ってもらうことが肝心だと考えている。
ワークショップの開催やSNSを活用。「染めの工程を見れば、この値段になるのも理解されるはず。動画なら言葉は関係ない。(大容量のデータを送信できる)5G到来は絶好のチャンス」とみる。
印染を再び日本人の暮らしの中に。伝統にこだわると同時に最新技術を取り入れ、生き残りを模索する。
亀﨑染工
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よかもんのススメ…
あづまバッグ
江戸時代からある「あづま袋」に発想を得たショルダーバッグ(12,800円・税別)。帆布に印染を施し、ストラップは帆布に漆プリントで加工、手仕事ならではのぬくもりを感じる。
亀﨑染工の独自ブランド「亀染屋」が展開する商品の一つで、より小ぶりで手ぬぐい生地製の「あづま袋」は、2018年度国のクール・ジャパン事業でフランス・パリで展示販売された。
鹿児島ブランドショップにはほかに、名刺入れや手ぬぐいなど印染の小物も。亀染屋直販サイトでも扱っている。
鹿児島ブランドショップ
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