
新品種ぴかいちごをはじめとする日置産の赤い宝石"ひおきいちご"
食べると唇に甘い余韻が残る…
1月下旬、日置市東市来町養母のビニールハウスに柔らかな朝日が差し込み、受粉を担うミツバチの羽音が響いていた。
真っ赤に実り、収穫を待つイチゴの名は「ぴかいちご」。鹿児島県が品種開発し、2019年愛称が決まった。大粒の実をかじると、甘い果汁がじゅわり。ほのかな酸味と高い糖度で唇に甘い余韻が残る。
「11月から収獲できるが、少しずつ暖かくなる2~3月は、もっと味がのる」と、生産者の小園春男さん。この新品種の栽培を6年前に始めた。「葉が成長しすぎたり、翌シーズンのための苗作りに失敗したり」と手探りの栽培だったが、天敵の炭そ病や光加減に目を光らせ苗を増やした。今期は1,400本ほどの苗が、たくさんの実をつけている。
小園さんが育てたイチゴは、物産館「江口蓬莱館」(日置市東市来)にも並ぶ。「午前中に売り切れることが多い。開店に合わせて来店されることをおすすめします」と支配人の柿本久人さん。
日置市のイチゴ生産者は32人。うち15人が「ぴかいちご」の栽培に着手し、市全体の栽培面積は29アールほど。約5.8ヘクタールの「さがほのか」と比べて生産量は少なく、消費者の手に届きにくい。市農林水産課の奥直洋さんは「栽培技術の確立を目指している。まだ始まったばかり」。
市は日置産のイチゴを「ひおきいちご」と名付けてPRに力を入れる。昨年は小園さんが会長を務める東市来いちご部会のイチゴが「かごしまブランド」に認定された。
小園さんは「苗作り、土の消毒、収穫、パック詰めと作業は多いが、真っ赤な果実を目にするとやっぱりうれしい」。後継者不足の悩みも口にしながら、丁寧に手入れされたイチゴ畑を見渡した。
日置市農林水産課(鹿児島地域振興局日置庁舎内)
- 日置市伊集院町下谷口1960-1[MAP]
- TEL:099-273-8870
江口蓬莱館
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よかもんのススメ…
ミロプレッソ
のどかな田園風景や江口浜を望む小高い場所に建つ、こぢんまりとしたイタリア料理の店。イチゴが収獲できる時季は、ショートケーキ(550円)やフレンチトースト(990円)に「ひおきいちご」を使う。
料理に使う野菜も日置産で「味が濃い地元の食材のおいしさを伝えたい」とオーナーシェフの内野美香さん。サイフォンで入れるこだわりのコーヒーとともに、ひと息ついて。
開店と同時に満席になることも多いため、予約がおすすめ。14:00までのランチタイムはパスタ・ピザ5種からメインを選ぶランチセット(1,980円)のみ。スイーツは追加で注文するか、14:00以降に。
ミロプレッソ
- 日置市東市来町伊作田823[MAP]
- TEL:099-295-3616
- 営/11:30~22:00
- 休/火、水曜
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