
花岡胡椒が半世紀ぶりに復活!加工品やクッキーも
明治時代から継承した唐辛子…
6月下旬の鹿屋市花岡地区。肥沃(ひよく)な畑に、ピーマンの苗に似ている植えられたばかりの苗が小雨に打たれて揺れていた。
「8月には腰の高さに。10月の収穫期は実が色づいて、畑が赤く染まってきれいだよ」。唐辛子「花岡胡椒」を生産する宮迫治時さん・ヨシ子さん夫妻が教えてくれた。
一般的なタカノツメに比べて小ぶりで、香りと辛味が強い。明治31年に栽培が始まり、輸出も盛んだったが、第2次世界大戦後に畑から姿を消した。
復活させようと平成27年に市の有志らが花岡胡椒研究会を結成。農家が保存していた種を譲り受け、今は5人の農家が栽培している。同研究会の近藤善光会長は「農家が絶やしてはならないと守ってきた種。そのストーリーに価値がある」。
害虫や害獣が寄りにくく、栽培しやすいが「収穫が大変」。1本の木に100個ほどがまばらに実るため、まとめて摘めない。1時間で1.5Kgほどになる実を一つずつ手で摘み「その手で顔を触るとヒリヒリ。油断できない」と笑う。
収獲した実は、変色やカビを防ぐ管理を徹底、約1カ月かけて天日干しする。乾燥後、半分以下の重さになった実を、さらに濃淡で色分けする。そこでようやく出荷できる。「この手間が、過去に廃れた一因では」と近藤さんは苦笑する。
出荷した花岡胡椒は、一味やソースなど加工品となって地元で販売される。下の写真は左から「花岡胡椒」、「花岡胡椒スコ」、「辛いソース花岡胡椒です」、「食べる花岡胡椒」、「生花岡胡椒の醤油漬け」(各648円)。鹿屋市のKITADA SARUGGA、観光物産総合センター、かのやばら園レストラン「ローズダイナー」、鹿児島市のマルヤガーデンズで購入できる。
願いは「再び、輸出へ」。夢への歩みは始まったばかりだ。
花岡胡椒研究会事務局
- 鹿屋市浜田町1250[MAP]
- TEL:090-9473-3704
よかもんのススメ…
誠花堂
花岡胡椒をクッキーに練り込んだ菓子店がある。「花岡胡椒クッキー」(350円・税抜き)を作る川崎裕文さんは、落花生やゴボウなど鹿屋市の食材で焼き菓子を作っていたため「花岡胡椒でも何かできないか」と試行錯誤。
クッキーが一番しっくりきたという。店に立つ妻のみどりさん、娘の末次亜希さんは「辛いのが好きな人も、辛いとおっしゃります」とにっこり。
口にするとふわっとバターの香り。やがて、のどがピリピリ。おっ、辛味きた…と思いながらまた手が伸びる。クセになる味をお試しあれ。
バタークリームで作られた懐かしいケーキ「たぬき」(280円・税抜き)もあります。
誠花堂
- 鹿屋市寿5-1-4[MAP]
- TEL:0994-43-8175
- 営/9:30~20:30
- 休/不定
- P/あり