
西郷の眠る地…南洲墓地へ
命もいらず、名もいらず・・・
「南洲墓地(南洲神社)」に整然と並ぶ約750基の墓碑は、青空に浮かぶ桜島を気持ち良さそうに眺めていた。ここでは西郷隆盛を中心に西南戦争の戦死者6,765人を祀る(=トップ写真)。
「14歳で亡くなった少年もいる」と宮司の鶴田伊都雄さん。福岡や山形から戦地に駆け付けた人や、最前線で戦った親子など一人一人のストーリーに寄り添い、尊い命と向き合う。
鳥居そばにある当時の東京市が建立した常夜灯は、西郷と勝海舟による「江戸無血開城」への感謝の印。
「ぬれぎぬを干さんともせず子供らのなすがまにまに果てし君かな」。添えられた勝の歌碑からは、盟友である西郷を失った喪失感がひしひしと伝わる。
南洲神社(南洲墓地)
- 鹿児島市上竜尾町2-1[MAP]
- TEL:099-247-6076
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南洲墓地に隣接する、江戸城天守台をモチーフに造られた「西郷南洲顕彰館」。館内には西郷に関するジオラマや遺品、西郷直筆の重要な書状などが展示されている。
西郷南洲顕彰館
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日曜日の朝、境内には薩摩の下級武士が学んでいたという薬丸野太刀自顕流のかけ声が響き渡り、小さな子どもから師範級まで交ざって鍛錬にいそしむ郷中教育の姿があった。裸足にはかま姿で桜島に向かって思い切り木刀を振り下ろす。
保存会の瀬戸口敏昭さんは、「異業種の人との出会いや、歴史に触れる機会も増えて世界が広がった」。
人と人とをつなぐ郷中教育の心意気は、今も脈々と受け継がれていた。
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西郷が残した漢詩に「雪に耐へて梅花麗し」とある。鶴田さんは「“努力は報われる”と子どもたちにこの言葉を伝えています」。
「命もいらず、名もいらず…」と自らを犠牲にし、誠意を尽くした男の生き様は、これからも私たちの心に優しく、時に厳しく語りかけるのだろう。
-完-
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今回のbreakスポットは…
境内茶屋なんしゅう
南洲神社の社務所前、白いのれんがはためく小さな茶屋は、リノベーションしたいろりのテーブルを置く、趣のある空間。
店内では丸くデザインした、西郷さんのさまざまなキャラクターグッズが出迎える。
ラテアートのイラストが選べる「せごラテ」(400円~)が人気で、抹茶ラテは苦みの効た大人の味。今月からオーナーが代わり、新メニューもぞくぞく登場予定。散策中にほっとひと息、かわいい西郷さんに会いにきて。
境内茶屋なんしゅう
- 鹿児島市上竜尾町2-1 南洲神社社務所前[MAP]
- TEL:080-2037-6299
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