
西郷終焉の地、鹿児島市城山周辺を巡る
「晋どん、もうここらでよか」…新時代へ
1877(明治10)年9月1日、九州山地を越え鹿児島入りした西郷軍約300人は城山に立てこもった。本営一帯は、豪族上山氏の城跡で、周囲の土塁は砦の名残。
外国人観光客でにぎわう展望台からほど近いドン広場に碑が立つ。たった百数十年前の戦争だ。照葉樹の森のざわめきに交じり、銃砲や両軍兵士の声が聞こえるような気がしてハッとする。
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連日の砲火に対し、西郷軍は塹壕や洞窟[MAP]を掘って防戦。9月24日未明、5万にもなる官軍の総攻撃が始まった。
現在は西郷洞窟上の道路脇に安置された「石仏十三体」[MAP]は穏やかな表情で城山を行き交う人々を見守っている。
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西郷は一時本営とした洞窟から敵陣方面へと下った岩崎谷で被弾する。
「晋どん、もうここらでよか」。別府晋介に介錯を頼み、49歳の生涯を閉じた。薩軍幹部も命を散らし、7カ月に及ぶ激戦は終わった。
西郷終焉の地は洞窟からわずか650歩。ドラマの影響で訪れる人が増え、若者の姿も目立つ。
西郷隆盛終焉の地碑
- 鹿児島市城山町[MAP]
そっと供えられた花束を見て、ふと思う。城山は祖父母のような存在ではないか。身近にあり過ぎて、その歴史や貴さをよく知らない。でも、忘れてはならない。
悲壮な歴史だけでなく、青年期の西郷、大久保が心身を鍛えた地としても思い起こしたい。
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「せっかくなら座禅石まで足を延ばして」と勧めるのは西郷研究家の安川あかねさん。「碑だけでなく実物が残る貴重な史跡。触れたり座ったりして、加治屋町から毎日通った若い2人に思いをはせてほしい」
座禅石
- 鹿児島市城山1丁目(座禅石公園内)[MAP]
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今回のbreakスポットは…
Brocante & Mercerie Annie城山店
ブロカント アンド メルスリー アニー
フランスを中心に各国から買い付けたアンティーク家具や雑貨、手芸材料を扱うお店。西郷洞窟横にある土産物店「せごどん」の跡継ぎの藤井幸一さん夫妻が1、2階部分を改装して開いた。
もともと妻の趣味だったが、「旅先で買い付けするうちに楽しくなって」と藤井さん。しゃれたボタンや上質の生地や革を求め、遠方から手づくり好きが集まる。革職人の長男・雄樹さんによる革教室も人気だ。
Brocante & Mercerie Annie城山店
- 鹿児島市城山町19-2[MAP]
- TEL:099-239-6320
- 営/11:00~18:00
- 休/水曜
- P/あり
- インスタグラム/Brocante & Mercerie Annie城山店
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