
西南戦争最大の激戦地、熊本・田原坂を巡る
激戦を物語る地は静穏な町並みに…
西郷隆盛が率いる薩軍推定約5万人と官軍約6万人が、7カ月に及ぶ死闘を繰り広げた西南戦争。最大の激戦地と伝わる田原坂は、鹿児島市から高速道路で3時間ほど。熊本市北区植木町の、静穏な町並みの中にある。
西南戦争に参加した政府軍兵士が、激戦地・田原坂に赴くときに越えていった橋、豊岡眼鏡橋[MAP]は、当時の姿を残している。橋を渡り南下すると一の坂が待ち構えている。
西南戦争激戦地の一つ、横平山戦跡[MAP]にある展望台からは、田原坂が一望できる。
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西郷が指揮する部隊は熊本城を攻め、桐野利秋、村田新八、篠原国幹ら中心部隊は、九州へ攻め入る官軍を迎え撃つため北上した。
薩軍が陣を構えた田原熊野座神社[MAP]は、社の建材や石碑に、銃弾や銃弾で削られた跡が残る。
熊本市文化振興課の美濃口雅朗さんは「個人の戦闘力が高い薩軍は、陸路で東京まで行ける自信があったのではないか。九州を出れば、加勢する士族が大勢いる。政府は薩軍を九州から出すわけにいかなかった」。
当時、大砲を引いて進むには、一の坂[MAP]、二の坂[MAP]、三の坂[MAP]と呼ばれる道路幅約3~4mの田原坂を避けて通れず、この場所だけで約3,500人が戦死した。激戦を物語るように、付近の畑からは、今も銃弾や薬きょうが見つかるという。
竹林が日差しを遮る一の坂を歩くと、冷たい空気に包まれた。田原坂公園[MAP]がある頂まで、約1.5kmの曲がりくねった見通しの悪い坂道。薩軍はこの地形を利用して優勢に立ったが、官軍の武器や兵の数に圧倒され、17日間続いた田原坂の戦いは終わった。
美濃口さんが「鹿児島の人なら見ておいて」と勧める薩軍墓地[MAP]へ。地元の人は、薩軍、官軍それぞれの墓地を分け隔てなく管理するという。戦争にどちらが正義か答えはない。墓石に生けられたみずみずしい花が、切ない歴史を伝えていた。
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田原坂公園の一角にある熊本市田原坂西南戦争資料館。こちらでは西南戦争が起きた時代背景やいきさつ、戦場を再現した動画や、武器、銃弾、食糧などを展示している。
薩摩軍陣地をイメージしたジオラマのある体感展示室では、大砲の着弾音や振動、小銃弾の飛来音などとともに戦闘の再現映像が壁面に映し出され、迫力に圧倒される。
熊本市田原坂西南戦争資料館
- 熊本市北区植木町豊岡858-1[MAP]
- TEL:096-272-4982
- 営/9:00~17:00
- 休/12/29~1/3
- 入館料/高校生以上:300円、小中生:100円(鹿児島市に住む小中生と65歳以上の人は身分証提示で無料)
- HP/熊本市観光ガイド[田原坂西南戦争資料館]
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今回のbreakスポットは…
cafe sucre
カフェシュクレ
田原坂から車で2分ほど。国道208号沿いの看板を目印に坂道を上ると「カフェシュクレ」がある。
フランス料理店で修行した山下禎人さんが「静かなところで、気軽にフレンチを」と、妻の愛梨紗さんとともに2018年にオープンした。テラス席から田原坂がある台地が見える。
ミニコースのランチ「シュクレボックス」は、1日20食限定。前菜盛り合わせ、肉料理or魚料理のメイン、自家製パン、デザート、ドリンクのセットで1,550円。
2段のお重には、クルトンが香ばしいスープと彩り鮮やかな前菜が。メイン、デザートまで、目も舌も楽しませてくれる。1カ月先まで予約で埋まることもあるので、お出かけの計画はお早めに。
カフェシュクレ
- 熊本市北区植木町鈴麦261[MAP]
- TEL:096-276-6990
- 営/11:00~16:00
- 休/月曜、第2火曜
- HP/cafe sucre
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