
吹上温泉の西郷隆盛入浴像
西郷らしい人柄にじむ足跡も…
小高い山々に囲まれたのどかな温泉地「吹上温泉」は、西郷隆盛を模した像が出迎える。でっぷりとした体で湯に浸かる姿は面影なのか(=トップ写真)。
巨漢と呼ばれ持病もあった西郷は、医師に運動を勧められていたという。「皮膚病も患っていたようです。肌に良い温泉で湯治をしたのでしょう」と、中島温泉旅館の代表・中島昌治さん。
300年ほど続く中島温泉旅館は、80年前に改築したままの姿を残し、すすで黒くなった傘電球が照らす通路が趣深く、今も湯治のための設備が整う。現在は、同旅館や公衆浴場の5カ所で、西郷を癒やしていた硫黄泉の源泉に浸かることができる。
中島温泉旅館
- 日置市吹上町湯之浦1106[MAP]
- TEL:099-296-2073
- HP/名湯・歴史の館 中島温泉旅館
吹上温泉街を見渡せる小高い杉林の中には、西郷南洲翁来遊の碑[MAP]が建つ。
碑には東郷平八郎が書いた文字が彫ってあり、昭和2(1927)年の除幕式には西郷菊次郎も立ち合ったそう。
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西郷は明治3(1870)年と明治7(1874)年に吹上温泉で静養した。「西郷家に仕えた女中・ヨシが、吹上町の東部にある坊野地区にいた縁で足を運んだと聞きます」と日置市観光協会の古川安代さん。西郷はヨシが夫と暮らす家に宿泊、お礼に日当たりの良い宅地を贈ったという。
西郷隆盛開地の碑があるこちらの敷地に、西郷手作りの手洗鉢がある[MAP]。大きな体の西郷に似合わず、ひざ上くらいの高さで小ぶり、そして無骨な鉢が愛らしくて、なんだかほっこりする。
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ここから車で2分ほど。杉林を進んだ先に、西郷が座って村人たちに東京や鹿児島の話をした、西郷隆盛御座石[MAP]がある。木漏れ日が御座石を照らす幻想的な雰囲気の中、聞こえるのは永吉川源流のせせらぎと鳥のさえずりだけ。
こけむした御座石に触れ、まっすぐに伸びるスギの木立ちを見上げたら、西郷のパワーをもらえるような気がした。
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今回のbreakスポットは…
Gallery Cafe 茶のはな
坊野地区と吹上温泉の中間ほどに位置するカフェ「茶のはな」。代表の山下桂子さんが夫の眞義さんとともに埼玉県からUターン、10年前に実家を開放して始めた店だ。
各部屋に所狭しと並ぶ陶器は、佐賀、愛媛、沖縄県など陶器の産地に足を運んで買い集めたもの。東京から仕入れる洋服や雑貨とともに販売する。
「女性に喜ばれるものを」と、コーヒー、紅茶とセットで提供するフルーツと手作りスイーツをいただきながら、のどかな田園風景が広がる景色の中でゆったり過ごしたい。
Gallery Cafe 茶のはな
- 日置市吹上町永吉15219[MAP]
- TEL:099-297-2934
- 営/10:00~18:00
- 休/月~水曜
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