
屋久島・一湊にある西郷隆盛上陸の地石碑
西郷遠島時に風待ちした漁港、屋久島・一湊
文久2(1862)年、島津久光の命に背いて上京した西郷隆盛は徳之島に遠島、西郷の腹心・村田新八も、喜界島への遠島を命じられた。
村田新八が残した「宇留満(うるま)乃日記」によると、村田は6月14日に山川港を出航した。風や波が強く、予定した口永良部島には入港できず、18日に屋久島・一湊に入港、炎暑の中、ようやく休息を得た。別の船に乗って来た西郷もここで一緒になり、村田は26日、出港したという。
集落を訪ねた村田は「陸地に久々に上がり、一湊村中を歩いた」「村中とにかく一様ににぎわっている。村人に松魚(カツオ)をもらった」とつづっている。最後まで運命を共にした二人は、漁村のにぎわいや港の風景をどんな思いで眺めたのだろうか。
一湊海水浴場近く、ウミガメが産卵にやって来る「一ツ浜」と呼ばれる白い砂浜に「西郷隆盛上陸の地」石碑(=トップ写真)が立つ。
西郷隆盛上陸の地
- 熊毛郡屋久島町一湊[MAP]
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屋久島・一湊の見どころチェック!!
屋久島北部に位置し、古くから天然の良港として栄えた一湊は、かつてはカツオ漁が盛んだったという。
現在は、屋久島の特産品「首折れサバ」の基地で、特産のさば節工場が数軒残る。
一湊集落の里めぐりツアーでは、地元の「おい♡(ラブ)一湊てくてく案内人」のガイドと共に、一湊漁港やさば節工場、樟脳工場、布引の滝[MAP]などを2~3時間かけて散策できる。
案内人の中島一孝さん(52)は「港でウミガメも見られるかも! 自然の恵みを余すことなく生かす暮らしを体感してもらえたら…」と呼び掛ける。
屋久島里めぐり(一湊集落)
- 申込先:屋久島里めぐり推進協議会(屋久島環境文化村センター内)
島内7集落で実施中 - TEL:0997-42-2900
- 料金/1人:1,500円(3日前までに要予約)
- HP/屋久島の「里めぐり」
土日限定5人以上で、一湊の新鮮な魚などが味わえる郷土料理の昼食(1,000円)も。
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屋久島の「さば節工場」
環境省の「かおり風景100選」に選ばれたさば節工場は、明治時代から創業されている。
屋久島近海でとれたゴマサバの頭と内蔵を除いてボイルし、広葉樹のまきを燃やしてサバをいぶす。油分の多いものは「なまり節」として出荷する。油分の少ないものは薫製後かびを付け、1年ほどかけて芳しい香りをのせた「本枯れ節」となり、そば店などで出汁素材として重宝されている。
見学は要予約。直売・全国発送可。
丸勝水産
- 熊毛郡屋久島町一湊1663[MAP]
- TEL:0997-44-2311
馬場水産
- 熊毛郡屋久島町一湊2288-9[MAP]
- TEL:0997-44-2333
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屋久島の「樟脳工場」
クスノキの木片を水蒸気蒸留法で結晶化したものが樟脳(しょうのう)だ。江戸時代から薩摩藩の特産品で屋久島でも盛んに製造されてきた。
蒸留水から分離してできる樟脳・精油(カンファーオイル)は、100%天然素材で出来た防虫剤・芳香剤として人気だ。
屋久島くすのきガレージ
- 熊毛郡屋久島町一湊2281-8[MAP]
- TEL:090-7825-9994
- HP/屋久島くすのきガレージ
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今回のbreakスポットは…
ariga-to
ありがとう
県道78号沿いの「ariga-to」には、財布やスマホケースなどヤクシカの革小物が並ぶ。植物由来のなめし、染料のみで仕上げた革は、時間と共に色の変化を楽しめる。夜光貝や鹿の角などもあしらい、ハンドメイドの縫い目が美しい。
食害対策で駆除されるヤクシカ。その食肉加工後に残る革を活用している。革作家で店主の清水舞さんは「屋久島の森で伸び伸びと生きた証しに、野生の傷はそのまま。しなやかで丈夫な革の手触りを味わい、永く使ってほしい」。
テラス席で休める「革cafe」もあり、布引の滝を望める。
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