
上野の西郷さん
薩摩の痕跡、東京・芝に残る…
東京・芝には、東西約800m、南北約300mの薩摩藩上屋敷があった。1867(慶応3)年、焼き討ちでその広大な屋敷は焼失し、鳥羽・伏見の戦いの発端になったという。
薩摩の痕跡を探して町を歩く。忙しく車が行き交う都営浅草線・三田駅近く、江戸無血開城を今に伝える「江戸開城 西郷南洲・勝海舟会見之地」記念碑がある。力強く刻字された書は、西郷の孫・吉之助によるものという。
1868(慶応4)年、この地で行われたとされる西郷隆盛と勝海舟による歴史を動かした会見。石碑の左下には当時の緊迫した様子が刻まれ、裏面には戦火から江戸に住む百万の民を救ったとして、地元の人たちの感謝の意が記されていた。
江戸開城 西郷南洲・勝海舟会見之地
- 東京都港区芝5-33[MAP]
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NEC本社横の植え込みの中に「薩摩屋敷跡」の文字を見つけた[MAP]。
小さな石碑をのぞいていると、「芝さつまの道には行きましたか」と、西郷のファンだという関東在住の男性。
導かれるように教わった方へ向かう。
ビルの谷間、緑と水の流れが優しい「芝さつまの道」は、近代的なデザインの中にも、そこに薩摩藩上屋敷があった歴史を感じさせる。
長さ約150m、幅約30m、街路樹には古くから屋敷林として植えられてきたシラカシを配置し、薩摩藩上屋敷跡のほぼ中心に位置する。
発掘した石垣を使ったオブジェや当時の井戸をイメージした噴水、ガラスを使ったモニュメントに描かれた屋敷の図面や屏風形のサインは、アートとして空間に溶け込んでいた。
芝さつまの道
- 東京都港区芝3-33-1[MAP]
姿を変えながらも、その土地で親しまれている薩摩の面影に、鹿児島県人として胸が熱くなった。
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上野公園にも「西郷どん」が…
東京都台東区にある上野公園の広大な敷地には、動物園や美術館などさまざまな文化施設が集まっている。
その中にそびえ立つのが「上野の西郷さん」こと、浴衣姿の西郷隆盛銅像だ。台座脇には銅像が建てられた経緯が「敬天愛人」と共に刻まれている。
西郷銅像の裏手には、戊辰戦争の戦闘の一つ、上野戦争で新政府軍に敗れた「彰義隊戦死者の墓」が静かにたたずむ。新政府軍と彰義隊の戦闘は1日で終結した。
西郷隆盛銅像(上野の西郷さん)
- 東京都台東区上野公園[MAP]
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今回のbreakスポットは…
ホテル ザ セレスティン東京芝
薩摩藩上屋敷跡、「芝さつまの道」に隣接するホテル・ザ・セレスティン東京芝は「江戸と薩摩の記憶」がコンセプト。島津家の家紋を用いた間仕切りや、切子細工を表現した壁面アートなど、粋なあしらいがモダンな空間をひきたてる。
カフェ&バーラウンジのメニューにも鹿児島県産を取り入れた。10月から提供するランチ「西郷丼(せごどん)」は、西郷隆盛お気に入りの黒豚や、黒酢、鹿児島県黒米と、鹿児島の「黒」に注目し、美容も意識したメニューだ。
歴史を感じながら味わう、至福のホテルランチはいかが。
ホテル ザ セレスティン東京芝
- 東京都港区芝3-23-1[MAP]
- TEL:03-5441-4111
- HP/ホテル ザ セレスティン東京芝
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