
仙巌園「御殿から望む桜島」
島津斉彬と共に西郷隆盛も見た絶景…
「名勝 仙巌園」(鹿児島市吉野町)は、桜島を築山に、錦江湾を池に見立てた見事な大名庭園(=写真上)をはじめ、島津の殿様の別邸として建てられた「御殿」など、およそ1万5千坪の敷地に情緒豊かな景色が広がる。
園内には大河ドラマ「篤姫」と「西郷どん」のロケで使われた石階段もそのまま残っており、タイムスリップしたような感覚になる。役者の往来を感じながらの散策も楽しい。
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28代島津斉彬が滞在する仙巌園に、1858(安政5)年6月、西郷隆盛は江戸と京都の情勢を伝えるために訪れ、これが斉彬と西郷が共に過ごした最後となった。
翌7月、斉彬が急死。死因は諸説あるが「恐らく食中毒。趣味で釣った魚の酒すしを食べてから体調を崩し、亡くなったと考えられます」と、仙巌園学芸員の岩川拓夫さんは話してくれた。
名勝 仙巌園
- 鹿児島市吉野町9700-1[MAP]
- TEL:099-247-1551
- HP/名勝 仙巌園[磯庭園]
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西郷は月照とともに入水するのだが…
斉彬の死後、西郷は失意の底にありながら「安政の大獄」から僧侶・月照を守るために奔走。しかし、月照は死刑を意味する「日向送り」を命じられ、絶望した西郷は日向に向かう舟から月照とともに錦江湾に身を投げた。
このとき、同じ舟に乗っていた福岡藩士・平野国臣が落水の音に驚いて舟を旋回。ふたりを引き上げ、仙巌園から1kmほど北にある花倉に運んだ。月照は息絶えたが、西郷は目を覚ました。
「西郷隆盛蘇生の家」は、人けのない線路脇の山陰にひっそりと建つ。すぐ横を列車が走ると地面が揺れて風にあおられ、そのわびしさは当時の西郷の心情を映すよう。
線路の向こうに錦江湾と桜島。目覚めた西郷は、斉彬と一緒に見たであろうこの景色に、何を思っただろう。
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今回のbreakスポットは…
仙巌園茶寮
仙巌園内に今年(2018年)2月にオープンした「仙巌園茶寮」で、和菓子や抹茶、パフェなどの和スイーツをいただける。
桜島と錦江湾に見立てて作られたセンターテーブルにも注目してほしい。
岩川さんイチオシは大河ドラマ「西郷どん」にも登場した「カステラ」(450円。ほうじ茶と黒糖豆付き)。蒲生和紙の敷き紙には、見覚えのある「Cangoxina」の文字が…。
鹿児島を表すこの文字は、16世紀のヨーロッパで作られた地図に示されていたもの。ドラマの1シーンを思い出しながら、窓の外に広がる穏やかな景色とともにゆっくり味わいたい。敷き紙は持ち帰ってお土産に♪
仙巌園茶寮
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島津薩摩切子ギャラリーショップ 磯工芸館
ちなみに、西郷は篤姫の嫁入り道具に「薩摩切子」も用意した。
写真は大河ドラマ「西郷どん」で、斉彬と西郷が使ったデザインのもの。「磯工芸館」に展示されている。
島津薩摩切子ギャラリーショップ 磯工芸館
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