
龍門司坂「決意の杉」
薩摩の繁栄支えた古道…
こけむした石畳の山道「龍門司坂(たつもんじざか)」をひとり、歩く。木漏れ日の中、あまりの静けさに、西郷隆盛と同じ時代に生きているような錯覚にとらわれる。
薩摩街道大口筋の一部で、1635(寛永12)年に造られ、約500mが昔のままの姿を残す。
1889(明治22)年ごろまで多くの人や物が行き交う幹線として活躍し、加治木の町、ひいては薩摩藩の繁栄を支えた。
大河ドラマ「翔ぶが如く」「篤姫」「龍馬伝」の撮影にも使われたこの坂が、「西郷どん」のオープニング映像と、西郷と大久保利通が友情を確かめ合う第13話のロケ地となり、再び脚光を浴びている。
ドラマのオープニングで、鈴木亮平さん演じる西郷隆盛が触れる「決意の杉」は、訪れた人が同じポーズをとる人気スポットだ。
実際に西郷が通ったのは、1877(明治10)年。西南戦争で熊本を目指す薩軍兵士を加治木の町で見送った人は数万に上った。加治木と蒲生にあった私学校分校の若者も加わったことだろう。当時の熱気はいかばかりだったか。
龍門司坂
- 姶良市加治木町木田[MAP]
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集成館事業に携わった加治木の豪商・森山家
国登録有形文化財の森山家住宅は、西郷が立ち寄ったとも伝わる。森山家は鋳物業で成功し、島津斉彬の集成館事業で大砲の鋳造に関わった豪商。
旧作業場は、第1期集成館事業の建物を移築したともいわれ、日本の近代化を支えたローカルパワーを垣間見ることができる。
森山家住宅
- 姶良市加治木町朝日町172[MAP]
内覧は2週間前までに下記へ申し込む。 - 申込先:姶良市教委社会教育課文化財係
- TEL:0995-62-2111
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西郷隆盛が焼酎を買い占めた!?
西郷が陣を取り、焼酎を買い占めた焼酎蔵が、JR重富駅近くの白金酒造だ。消毒用と軍事用を兼ねた調達は、刀で切り合う戦の生々しさを物語る。
そんな明治時代の蔵を改装したのが、白金酒造の石蔵ミュージアム。秋冬は焼酎の仕込みを見学できる(入場無料)。
白金酒造 石蔵ミュージアム
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今回のbreakスポットは…
海鮮とカレーの店 木花家
こかげ
田園風景に溶け込む「海鮮とカレーの店 木花家」は、店主の増丸英和さんが毎朝、魚市場へ出向いて仕入れた海鮮と、自家製カレーが味わえる。おすすめの海鮮丼(サラダ、汁物付き1,300円)は、分厚い切り身がプリプリと口の中で躍る。「朝まで泳いでいた魚だからね」と増丸さん。
カレーは肉のうまみを引き出すため豚軟骨肉を使い、5日間じっくり煮込んだ本格派。米や水を厳選、みそやドレッシングまで手作りにこだわる。奥さんが作るケーキも美味。金山橋に行くなら、ぜひ立ち寄りたい。
金山橋[MAP]とは、島津家が金山経営のため明治13年ごろ造ったとされる橋。
海鮮とカレーの店 木花家
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