
照国神社境内から望む桜島
幕末に活躍する人材も育てた島津斉彬公…
城山の麓に鎮座する照國神社は1863年、照國大明神の神号を授かり翌1864年に創建された。参道の白い大鳥居が太陽の光を浴びてまぶしい。
鳥居の高さはおよそ20m、大空襲時の弾痕が残る。境内からは天気の良い日に桜島も望める(=トップ写真)。
大鳥居前にある道路は、多くの車が行き交う鹿児島の動脈、国道3号、10号、225号の終点でもある。
神社近くにある中央公園すぐそばには、終点を表すモニュメントがちょこんとたたずむ[MAP]。
熊本へと延びる国道3号は薩摩街道出水筋(西郷旅:出水武家屋敷編はこちらから)で、西郷隆盛らも江戸へ向かう際に通ったという。
照国町周辺は、大河ドラマでも描かれた妙円寺詣りの出発地でもある(西郷旅:伊集院方面編はこちらから)。大久保利通の日記に西郷と共に参加した記録が残り、行事中の争いが原因で西郷は刀傷を負ったといわれる。
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照國神社の御祭神は薩摩藩11代藩主・島津斉彬。貧しい武士だった西郷を見いだした人物で「太陽のようなお方」と、西郷は表現したという。斉彬は世界へ目を向け、富国強兵のため近代化事業に力を入れていた。
「日の丸の考案者も斉彬公です」と、権禰宜(ごんねぎ)の福ケ迫元さん。境内の照國記念館では、国旗の図案や愛用の地球儀などが展示されている。
神社では、斉彬の座右の銘「思無邪(思い邪無し[おもいよこしまなし])」のお守りが人気だそう。
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拝殿のそばには斉彬の銅像が立つ。1917年作製の鹿児島県で最も古い銅像。城山の緑を背に悠然とたたずむ斉彬の目は、桜島のはるか向こうに広がる世界を捉えているのかのようだ。
立ち寄った際には台座のレリーフを見てほしい。4枚の絵はその功績をイメージさせてくれる。
斉彬が残した言葉に「第一に人の和」とある。人材育成に力を注いだリーダーの信念は、西郷ら若き藩士に受け継がれたのだろう。
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斉彬の命日にちなみ、7月15、16の両日に行われる同神社の六月灯。島津家の祖先を供養する行事として、毎年約800灯が鹿児島市の夏を照らしている。
照國神社
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今回のbreakスポットは…
MOKU kagoshima
照國神社から歩いてすぐ。「MOKU kagoshima」は十字路の角にある小さなケーキ屋さん。赤い壁紙とアンティーク調の手づくり家具、優しいジャズのメロディーが心地良い店内には、串木野店から毎朝持ってくるカントリー風のケーキが10種類ほど並ぶ。
定番の「茶色のチーズ」に使うのは、開店当初から変わらない自家製ヨーグルト。こだわりのケーキはどれも重厚な味わいだ。近隣のカフェからもオーダーが入る創業30年目の名店は、大人の甘党を魅了する。
MOKU kagoshima
- 鹿児島市照国町10-19[MAP]
- TEL:099-224-7045
- 営/11:00~19:00(売り切れ次第閉店)
- 休/月・火曜(祝日は営業)
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