
出水麓武家屋敷群を巡る「いずみ観光牛車」
タイムスリップ。400年変わらぬ町割りを体感…
薩摩藩の地方役人として農政に携わっていた西郷隆盛は、28歳の時、藩主・島津斉彬の参勤に従い、江戸に上ることになった。参勤交代の際に藩主一行が宿泊、通過したのが出水麓武家屋敷群。西郷も薩摩街道が通る出水に何度も滞在、通過したと考えられている。
熊本藩との国境地域であることから、警備のために多くの武士が居住、藩内に点在した麓と呼ばれる武士集落の中でも、出水麓は最大級の広さを誇った。石垣と緑の生垣、武家門が連なる街路は江戸時代の面影を残す。
中でも出水小学校の敷地は江戸時代の藩主の宿泊所御仮屋跡で、「御仮屋門」が校門になっていることにも歴史を感じる。[MAP]
出水小学校の校門「御仮屋門」前には、立派な武家門を持つ「耦祥庵(ぐしょうあん)」という名のそば屋さんもあります。[MAP]
出水麓武家屋敷群では、大河ドラマ「篤姫」のロケがあった屋敷など数軒が公開されている。この年末(2018年)までは、地元のサンドアーティストによる西郷ら明治維新の偉人らの「シラス像」も各所に展示中。
上級郷士の屋敷「税所邸」[MAP]は、いろりから屋外に逃げられる抜け道や、雨の日でも弓の練習ができる部屋など武家屋敷ならではの造りを体感することができる。
「抜け道が最も多く使われたのは、西南戦争時に官軍から逃れるためだったそうです」と案内人の安武邦晴さん。薄暗い抜け道は、武士社会の終末を物語る。
写真の缶バッジは、3つの有料施設(出水麓歴史館、竹添邸、税所邸)の共通入館証となっていて、その年の12月末日までなら何回でも使用可!
明治維新150年の節目となる今年、ぜひとも訪れたい場所の一つだ。
出水麓歴史館
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土・日・祝日中心に、「いずみ観光牛車」(=トップ写真、要予約)も運行している。約25分かけて屋敷群を巡る。牛車を引く黒毛和牛「ちはる」は、2月放映の「西郷どん」で、主演の鈴木亮平さんと共演を果たしたそう。
ゆったりと牛車にゆられればタイムスリップと、ドラマの余話も楽しめるかも。
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今回のbreakスポットは…
薩摩三大関所・野間之関跡
参勤交代のルートだった薩摩街道(出水筋)は、明治時代に国道が建設されるまで南九州の陸上交通の大動脈だった。
そして出水麓の北には、薩摩の三大関所の一つ「野間之関」跡がある。
案内板には「徳川泰平の世となり、各藩は国境の警備を緩めたのに、薩摩藩は藩体制を堅持するためにますます取り締りを強化した」とあるように、通行が厳しいことで知られた。今は古井戸のみが残る。
石碑の文字は東郷平八郎書。晴天とは裏腹な春の強風に、周囲の竹林がざわざわと騒いでいた。
「野間之関」跡
- 出水市下鯖町2578[MAP]
- 問/出水市シティセールス課
- TEL:0996-43-2111
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