
いちき串木野市羽島の夕陽
今なお残る石積み…
「薩摩藩英国留学生記念館」(いちき串木野市羽島)のたもとにある浜中港には、若き西郷隆盛らが手掛けた石積み防波堤が現存する。近くにある農業用かんがいため池「萬福池築造工事」で余った材などで改修したと言われる。[萬福池MAP]。
防波堤は玉石積み、ため池は平石積みで築かれ当時の薩摩藩の技術が見て取れる。今でも羽島の人々は浜中港や萬福池の恵みを受け継ぐ。
西郷の人生に大きな転換がおとずれたのは郡方書役助の役職に就いてからだとされる。薩摩藩の河川土木事業や農政に携わり、薩摩川内市やいちき串木野市には、若き西郷がくまなく回った足跡が多く残る。羽島史跡顕彰会長の川口勝則さんは「西郷は農業も漁業も分け隔てなく力を注いだ」と話す。
さらに、「書役助に任命された頃の郡奉行だった迫田太次右衛門、小森新蔵らに農政や土木を一から学び藩内の事情に精通していった。西郷は精神的にも大きな教えを受け、人脈も広がっていった」と川口さんは説く。
幾度となく川内や串木野を訪れ、貧しく苦しい暮らしを強いられた農民や漁民たちに寄り添った若き西郷。その思いやりや温かい心は羽島の人々に引き継がれ、やがて日本の黎明期の中心になった薩摩の若者らを2カ月もの間、親身になって支えた。
彼らは薩摩藩留学生として、この地から英国へと旅立った。
薩摩藩英国留学生記念館
- いちき串木野市羽島4930[MAP]
- TEL:0996-35-1865
- HP/薩摩藩英国留学生記念館
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せごどんのはしま弁
明治維新150年に合わせて地元女性グループ「フェザープリンセス」が羽島地区の食材をふんだんに使った弁当を売り出した。
若き西郷さんが「萬福池築造工事」や浜中港の改修に関わった際、おそらく口にしたであろう、豚肉の角煮や煮しめ、アズキに代えてササゲを使った赤飯おにぎりなど羽島の郷土料理。「がね天、かからん団子」なども盛り付けた。
弁当は1個800円。10個以上で4~5日前までに申し込んでください。
せごどんのはしま弁/フェザープリンセス
- 問/羽島交流センター
- TEL:0996-35-0014
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今回のbreakスポットは…
しらすとチリメン/羽島漁協 うんのもん
留学生記念館すぐ向かいにある羽島漁業の直営店・羽島漁協 うんのもん。
店先に並ぶのは、羽島前浜沖で水揚げされ、その場で加工される。特に釜ゆでしらすと天日干しされたチリメンは絶品だ。
羽島漁協 うんのもん
- いちき串木野市浜田町85-1[MAP]
- TEL:0996-35-0001
- 休/日曜・祝日
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串木野サンセットパーク
薩摩藩英国留学生記念館から羽島の高台方面へ走ると、地元でも知る人ぞ知る夕日の名所がある。[MAP]
甑島を遠望する素晴らしい東シナ海の絶景と、海を真っ赤に染めて沈む夕日は最高だ。付近が「かごしまロマン街道」と銘打たれるのもよく分かる。
小さなスポットだが、雄大な景色に心が洗われる。
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